2020 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外光ガイドスター波面シェイピングによるマウス脳最深部での神経狙い撃ち制御
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19K16188
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渋川 敦史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特任助教 (80823244)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 波面整形 / ホログラフィ / 空間光変調 / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,マウス脳の散乱応答変化(サブミリ秒)に追随できるような「高速波面整形システム」の基盤デバイスとして,MHzクラスのフレームレートを有する一次元空間光変調器(1D-SLM)を提案・開発した.シリンドリカルレンズによってライトシートビームを作成し,これをデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の一列上に照射する.さらに,このライトシートビームを共振器ミラーによって横方向に高速走査することで,DMD上の各列に表示される一次元波面分布が高速時系列変調される.この原理によって,最大20MHzのフレームレートが達成可能になる.提案1D-SLMの実験実証を既に完了させ,現時点で最大6MHzのフレームレートを達成した.この記録は,現状世界最速のSLMのフレームレート350kHz(Omer Tzang et al., Nat. Photon. 2019)と比べて,およそ17倍に相当する(第58回日本生物物理学会年会で成果発表,学術論文は準備中).この世界最速1D-SLMは,高速波面整形システムの基盤デバイスになるだけではなく,「超高速スペクトル整形」や「超高速3D光スポット走査」などにも応用が可能である.すなわち,本開発技術は,今後シーズ技術として,様々な分野に波及していくことが期待される.一方で,「1D-SLMの開発に予想以上に時間を要したこと」や「コロナ禍における大学の閉鎖」等が影響し,当初予定していた「高速波面整形システムの構築」を完了させることができなかった.従って,今後は,光検出器・制御用PC・DMD間のデータ転送を遅延なく処理できるプログラムコードを作成し,マウス脳の散乱応答変化に対応できるような高速フィードバックループを完成させる.その後,生きたマウス脳に高速波面整形システムを適用し,マウス脳深部での光スポット生成に挑戦していく.
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