2022 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的多様性とエピジェネティック多様性の相互補償性の検証
Project/Area Number |
19K16201
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
勝村 啓史 北里大学, 医学部, 准教授 (10649544)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 遺伝的多様性 / メダカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではメダカの自然集団を対象に,エピジェネティックな多様性が遺伝的多様性との間に関連があるのかを調べた.そのために,ゲノム網羅的に取得するDNAの変異とDNAの季節変化(メチル化シトシン)を定量し,それら多様性が相互に関連し合うのか,それとも独立なのかを検証することを目的とした.本年度はこれまでに得られた,2014年と2015年の冬と夏で採取した野生メダカ集団を対象にしたメチローム解析とRAD-seq法によって得たゲノムワイド一塩基多型データ解析を進め, DNAメチル化の季節変動とメダカ集団の遺伝的多様性と関連がみられるかを調査した. 【メチローム解析】DNAメチル化が変動するゲノム領域を見つけるために,香川県において冬と夏(2年間4季節)に採集したメダカ(6集団[KSH,KEJ,KHT,KAO,KKB,KSM])集団のMBD-seqにより得られたメチロームデータ解析を進めた.それぞれの集団において,季節間で繰り返しDNAメチル化が変化する領域を検出した.KSH,KKB,KSM集団では,夏にメチル化する領域が冬にメチル化する領域よりも多かった.一方で,KHTでは冬にメチル化する領域が多かった.年間比較においても,繰り返しDNAメチル化が変化する領域を検出した. 【ゲノムワイド一塩基多型データ解析】上記メチロームデータ解析に用いた6つの集団から,計1152個体をRAD-seqに供し444,468 SNPsを取得した.KSM集団を除き核ゲノムに基づく遺伝的多様度は,ミトコンドリアゲノムに基づく遺伝的多様度とは異なりどの集団も同程度の値を示した.また,季節間や年間でそれらの大きな変化は見られなかったが,KHTやKAOでは集団構造が変化している可能性が示唆された.
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