2021 Fiscal Year Research-status Report
警告色と隠蔽色の分化をもたらす生態的・遺伝的要因の解明
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19K16230
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 紀之 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (00724965)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 警告色 / 隠蔽色 / 捕食回避 |
Outline of Annual Research Achievements |
集団間および集団内における斑紋と色彩の変異を定量化するために、2021年11月に沖縄本島と周辺離島で研究協力者(指導学生を含む)とクリサキテントウのサンプリングを行なった。テントウムシは小さく立体的な構造をしているため、分光光度計による色彩の計測が難しい。したがって、近年になって開発された、ImageJのプラグインであるmicaToolboxで色彩と斑紋(面積と個数)の定量化を行なった。この手法であれば、特定の光源下で撮影したRAW画像を元にして、特定の色覚モデル(本研究では天敵として想定される鳥類)に応じた色彩を評価できる。その結果、集団間で有意な変異が見られること、色彩と斑紋に弱い相関関係があることが分かった。ほとんどの集団では、赤味の強く、斑紋の多い個体が優占していた。その一方で、赤味が弱く、斑紋の少ない個体がいる集団もみられた。これらのパターンは、島ごと(もしくは個体間)で、警告的なシグナルと隠蔽的なシグナルが分化したことを示唆している可能性がある。このようなパターンは、これまでテントウムシの種間比較から報告されているものの、同じ種類の地域間比較では知られていない。よって、本研究では、警告色と隠蔽色という正反対の機能をもつ性質がいかに進化したのか明らかにできると考えられる。今後は、色彩と斑紋の変異が遺伝的に規定されているのか表現型可塑性の影響を受けるのか確かめるために、飼育環境下で実験を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のために予定していた出張ができなかったため、サンプリングおよび実験が思うように実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに実現できなかったサンプリングについて、今年度引き続き実施し、これまで得られていない地域からのサンプリング、ならびに飼育実験の準備とする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって実現できなかった調査出張について、次年度に実施を計画しているため。
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