2019 Fiscal Year Research-status Report
ホタル類の幼虫期における集団発光の適応的意義と集合・離散メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K16233
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 臨 首都大学東京, 都市環境学部, 特任研究員 (00809725)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 生物発光 / 群れ / 発光コミュニケーション / 採餌戦略 / 被食防衛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の仮説を検証するにあたって、初年度は発光ルアーの有無についての実験と捕食者への警告シグナルの評価のための予備実験を実施した。琉球列島に生息するマドボタル幼虫と同所的に生息するカタツムリ複数種を採集し、録画した幼虫の発光の映像やLEDで作製した発光装置を提示し、光へのカタツムリ類の走光性を評価した。実験に必要な個体数が確保できなかったため幼貝については十分なサンプル数を得られていないが、現在のところは期待通りの傾向が得られている。成貝や成長した個体では光に誘引される傾向はほとんど確認されなかったが、小さい幼貝では光に引き寄せられる傾向があった。幼貝が光に誘引される理由については現時点では不明であるが、発光カタツムリとして知られる海外のヒカリマイマイでも発光と走光性はほとんど幼貝時に見られることから、幼若期における集合性などに関与しているものと考えられる。捕食者への警告シグナルの評価については、初年度は実験手法を整えるため、マドボタルと同じ島に生息する琉球列島のカエル類を用いて予備実験を実施した。幼虫生体を用いての実験は室内での発光の制御が難しかったため、実験設備等の改良が必要であり、これと並行して映像やLEDでの実験を調整中である。また、2年目以降に実施するマドボタル幼虫間の発光コミュニケーションを検証するための野外実験のため、調査場所の探索を行い、実験に適したいくつかの候補地を選定することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査時の天候等の影響から陸貝のサンプリングが予定通りにいかず、幼貝のサンプル数を確保できなった。また、実験手法の調整に時間が掛ったため発光ルアーの検証では複数発光と単独発光での比較実験ができていないなど、計画よりもやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は遅れている発光ルアーの実験を完了するとともに、計画通り「捕食者への警告シグナル」の実験を進めていく予定である。また、「幼虫間の情報伝達」の検証のために予備実験を実施し、本実験に向けた準備を進めていく。
|
Causes of Carryover |
人件費の使用がなく、また旅費の使用が計画より少なかったため。翌年度請求分と合わせて調査旅費等の用途にあてる。
|