2020 Fiscal Year Research-status Report
採食適応に着目した霊長類と非霊長類哺乳類のゲノム・メタゲノム収斂進化の解明
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19K16241
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 卓志 北海道大学, 地球環境科学研究院, 助教 (00758493)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 霊長類 / 有袋類 / 単孔類 / ゲノム / メタゲノム / 食性 / 化学受容体 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多様な食性に適応放散している哺乳類の「縮図」として、多様な食性に種分化している霊長類を位置づけ、ゲノム・メタゲノム解析の手法でその収斂進化の遺伝的メカニズムを解明することをゴールとする。昨年度は、サンプリング、カウンターパートとの研究の方向性に関する打合せ、基礎的なDNA実験を実施した。今年度は、それらの基礎データやネットワークを活かして、様々な霊長類および非霊長類哺乳類の解析をおこなった。具体的には、霊長類としてはチンパンジー、グエノン、マーモセット、スローロリス、非霊長類哺乳類としては、ニホンジカ、イルカ、クマ、トガリネズミ、コアラ、カモノハシ、ハリモグラのゲノム・メタゲノム解析をおこなった。海外での哺乳類の野外調査はCOVID-19拡大の関係でできなかったが、国内の哺乳類の野外調査地や、動物園と連携して調査を進めた。国際単孔類ゲノムプロジェクトの成果論文として、カモノハシとハリモグラの全ゲノム解析をNature誌に発表して、霊長類から単孔類までの食性進化に直結する化学受容体遺伝子ファミリーの進化解明を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第二年度では、次世代シークエンサーをもちいて、収集した資料の広域ゲノム領域や、腸内細菌叢の16S配列解析をおこない、霊長類と有袋類の間での共通する進化様式がないか明らかにすることを目的としており、達成することができた。また、霊長類や有袋類以外の幅広い哺乳類分類群でも調査をおこなうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、これまでに明らかにした霊長類ならびに非霊長類哺乳類の各分類群におけるゲノム・メタゲノム解析を個別に成果としてまとめるとともに、収斂の観点から統合的なデータ分析をおこなう。特に本研究がメインのターゲットにしている霊長類や有袋類の生息国には、最終年度においてもCOVID-19拡大の関係で渡航しての調査は困難と考えられるが、カウンターパートとオンライン交流や共著論文の執筆を通じて、ネットワーク形成に努めていく。
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Research Products
(25 results)