2021 Fiscal Year Annual Research Report
採食適応に着目した霊長類と非霊長類哺乳類のゲノム・メタゲノム収斂進化の解明
Project/Area Number |
19K16241
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 卓志 北海道大学, 地球環境科学研究院, 助教 (00758493)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 霊長類 / 有袋類 / ゲノム / メタゲノム / 収斂進化 / 全ゲノム解析 / 樹液食 / シロアリ食 |
Outline of Annual Research Achievements |
多様な食性(果実食、葉食、樹液食、昆虫食、肉食、その他)をそれぞれの種の特徴として持つ動物として多様化した哺乳類を対象に、特に霊長類の特殊性に注目して、その採食適応のゲノム・メタゲノム基盤と、種を越えた収斂進化について注目する研究を実施した。今年度はその研究計画の最終年度であり、試料収集・実験の着地点の模索、論文の執筆、次年度の研究への展開について吟味した。本研究で特に注目したことのひとつは樹液食である。樹液食は、哺乳類としては珍しい食性であるが、マーモセット類やスローロリス類などの霊長類や、フクロモモンガやオポッサムなどの有袋類が樹液を摂食する。これらに共通するのは小型の樹上性哺乳類であり、樹上で用意に入手できる繊維質として分類群を越えて収斂進化した食性であると言える。繊維の分解には腸内細菌が貢献する。コモマーモセット、スローロリス、オポッサムの複数種について、採食内容が既知の個体から糞便を採取し、メタゲノム解析を実施した。その結果、樹液の繊維分解に貢献していると思われる腸内細菌種をDNAで同定することができた。この内容については現在、論文の投稿を準備中である。また、シロアリ食をするオーストラリアのナンバット(フクロアリクイ)やハリモグラの全ゲノム解析をおこない、味覚に関連する遺伝子がシロアリ食に適応していることがわかった。シロアリは社会性昆虫のため、アリ塚から大量にタンパク源として採食することができ、多くの霊長類も利用している。霊長類の全ゲノムデータは2010年代から急速に増えているが、霊長類全種の全ゲノム解析に迫る国際研究プロジェクト(The Primate Genome Project)と連携体制と構築し、本研究計画のテーマである「ゲノム・メタゲノム収斂」を発展させる基盤が整った。
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[Journal Article] Initiation of the Primate Genome Project2022
Author(s)
Wu DD, Qi XG, Yu L, Li M, Liu ZJ, Yoder AD, Roos C, Hayakawa T, Rogers J, Marques-Bonet T, Su B, Yao YG, Zhang YP, Zhang G
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Journal Title
Zoological Research
Volume: 43
Pages: 147~149
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Early origin of sweet perception in the songbird radiation2021
Author(s)
Toda Yasuka、Ko Meng-Ching、Liang Qiaoyi、Miller Eliot T.、Rico-Guevara Alejandro、Nakagita Tomoya、Sakakibara Ayano、Uemura Kana、Sackton Timothy、Hayakawa Takashi、Sin Simon Yung Wa、Ishimaru Yoshiro、Misaka Takumi、Oteiza Pablo、Crall James、Edwards Scott V.、Buttemer William、Matsumura Shuichi、Baldwin Maude W.
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Journal Title
Science
Volume: 373
Pages: 226~231
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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