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2019 Fiscal Year Research-status Report

Testing a game model on the stable polymorphism of colour vision in callitrichid species

Research Project

Project/Area Number 19K16242
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

関 元秀  九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (30647409)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords数理モデル / ゲーム理論 / 霊長類の色覚進化 / 対立遺伝子多型 / 模倣・社会学習 / 新世界ザル
Outline of Annual Research Achievements

本研究では「新世界ザル各種で報告されている色覚遺伝子多型が、採餌等に関する3色覚型個体の生得的アドバンテージと2色覚型個体の後天的学習によるキャッチアップという2つの現象によって保たれてきた」という新たな仮説に基づく数理モデルを開発し、モデルが実際に新世界ザルの観測データを説明可能かを試験し、説明力が不十分な場合は仮説・モデルを改定していく。
2019年度はX染色体上の色覚を司る遺伝子座に対立遺伝子数が2つある場合についてのモデルを構築した。このモデルは3つのパラメーター(3色覚型個体の生得的アドバンテージとコスト、2色覚型個体が後天的学習によってキャッチアップできる度合い)をもつ。2色覚型個体がキャッチアップできない(キャッチアップ度合いがゼロの)場合も取り扱うことができ、この場合は古典的なヘテロ優勢による平衡多型のモデルに縮退する。
解析の結果、2色覚型個体によるキャッチアップ度合いが、3色覚型個体の生得的アドバンテージとコストの値によって決まる閾値を超えているか否かが重要であることが明らかになった。全くキャッチアップできない場合(古典的モデルの場合)またはキャッチアップがあるもののその度合いが上記閾値を超えない場合、2つの対立遺伝子の集団中の頻度は1対1になる。一方、キャッチアップの度合いが閾値を超えている場合、祖先型の対立遺伝子が過半数を占め、変異型の対立遺伝子が半数以下の頻度で保たれることがわかった。後者の状態は、新世界ザル各種でこれまでに報告されてきた遺伝子頻度に合致すると考えられる。以上のモデル解析のために計算機を導入し、数式処理ソフトウェアを用いた。
9月に個体群生態学会、1月に北海道生命数理研究会にて各時点での研究成果を報告し、生態学・遺伝学・数理科学の研究者から意見をいただき、議論を深めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

モデル開発については、2019年度の計画通り、対立遺伝子が2つである場合の数理モデルを開発した。このモデルを解析的手法によってほぼ完全に解くことに成功したのは想定以上の成果である。なお解析的に解くことができなかった場合に計画していた計算機による数値シミュレーションは行う必要がなかったため、プログラムコードを記述しなかった。今後モデルを一般化していく過程では数値シミュレーションに依拠しなければならない可能性があり、その場合その時点で新たにプログラムコードを記述する必要がある。
新世界ザルでの実証については、世界的な情勢の激変から、当初計画していたコスタリカ・サンタロサ保護区への出張を延期せざるを得なかった。新世界ザル2種を観察対象とした短期フィールドワークによって予備的データを取得し、必要な場合にモデルの軌道修正をする計画であったが実現できなかったため、軌道修正の要不要の判断が保留となっている。
成果の公表・普及活動について、当初は2019年度人間行動進化学会に参加・成果報告を行う計画であったが、別プロジェクトの研究会と日程が重複してしまったため参加することができなかった。

Strategy for Future Research Activity

モデル開発作業については、まずは当初の計画通りに、対立遺伝子が3つ以上の場合を取り扱い可能なモデルへの改良を行う。対立遺伝子が2つの場合は解析学の手法によってモデルをほぼ完全に解くことに成功したが、対立遺伝子の種類が多い場合は解析的に解くことが難しい可能性が高い。その場合は、計算機による数値シミュレーションを網羅的に行う。この作業を高速で行うためのプログラムコードを記述する。また当初は最終年度に計画していたモデルのさらなる一般化を繰上げて実行する。新世界ザルの事例や、X染色体上の遺伝子座に限定されず、対立遺伝子多型に後天的学習が様々な様相で影響する一般性の高い数理モデルの開発と、遺伝子多型と後天的学習が関連する可能性がある生物現象の文献探索を並行で行う。
新世界ザルを対象としたデータ解析は、まずは出版されている遺伝子頻度データを用いる。数理モデルに遺伝子頻度データを代入し解くことで、3色覚型個体の生得的アドバンテージ、生得的コスト、2色覚型個体の後天的学習によるキャッチアップの度合いを推定する。さらにキャッチアップの度合いを、野生の新世界ザル集団を対象としたコスタリカでのフィールドワークによって直接的に測る計画である。ただし3年以内に自らがコスタリカへフィールドワークに行くことが不可能となる可能性がある。その場合には、現地の研究協力者と連携を深めながら可能な限りのデータを供与していただき、キャッチアップに関する直接的なデータが入手できない場合は間接的なデータからキャッチアップ度合いを推計する手法を開発する。

Causes of Carryover

情勢を鑑み、海外出張(学会発表・フィールドワーク)を中止・次年度以降へ持ち越しとした。フィールドワークの持ち越しに伴い、データ整理用人件費も次年度以降へ持ち越しとした。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Game theoretical approach to explain polymorphism in the colour vision of New World Monkeys2019

    • Author(s)
      関 元秀
    • Organizer
      個体群生態学会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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