2023 Fiscal Year Annual Research Report
Testing a game model on the stable polymorphism of colour vision in callitrichid species
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19K16242
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
関 元秀 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (30647409)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数理モデル / ゲーム理論 / 性的二型 / 同性内多型 / 性染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ショウリョウバッタを具体例とした、世代間重複がなく性比に偏りのある生物種における対捕食者シグナル発信行動の性的二型(一方の性はシグナル発信し、他方は発信しない状況)や同性内多型(一方の性で一部の個体はシグナル発信し、同性の残りの個体は発信しない状況)が安定的に維持される生態環境条件を求めることができる数理モデルを昨年度に引き続き取り扱った。モデルを数値的に解析するシミュレーションコードを完成させ、様々なパラメーター値を代入した包括的な数値分析を行い、モデル上での対立遺伝子動態を確認した。解析的に示唆されていた、同性内多型は個体数の多い側の性でより維持されやすい傾向にあることが数値解析によっても支持された。研究経過は第39回個体群生態学会(札幌)でポスター発表された。 さらに、植物のBVOC発信受信行動の進化を分析するための新たなモデルを開発した。一部の植物が植食者に食害された際に被食部位から発し、それを自個体の別部位や他植物個体が受信することで植食者が近傍にいるという事実を”知る”ことができるBVOCを、発信する個体と発信しない個体、受信する個体と受信しない個体、計4タイプの植物個体を生み出す対立遺伝子が存在する集団を仮定した。数理的解析と数値解析によって、BVOCを発信せず受信する個体のみが存在する状態へと進化することはなく、それ以外の3種類の単型状態はそれぞれ進化的に安定となるパラメーター領域をもつこと、および、4種類のうちいずれか2種類の多型が安定的に維持される生態環境がそれぞれ存在することが示唆された。
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