2019 Fiscal Year Research-status Report
メダカオキシトシン遺伝子に着目した、配偶者防衛行動の神経基盤解析
Project/Area Number |
19K16247
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横井 佐織 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (10772048)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オキシトシン / メダカ / 配偶者防衛 |
Outline of Annual Research Achievements |
「配偶者防衛行動」はオスがメスに追従し、他のオスとの交配を阻止する行動、と定義され、昆虫から哺乳類まで様々な動物種で観察が報告されている。しかし、研究室内で再現した例がほとんど存在せず、その分子神経基盤についてはほとんどが不明である。本研究では、メダカを用いた配偶者防衛行動の定量系を確立しており、プレーリーハタネズミの一夫一妻制を制御するホルモンである、オキシトシンに着目し、配偶者防衛行動の神経基盤解析を行っている。 オキシトシンやその受容体遺伝子を欠失させたメダカのオスでは、初対面のメスに対する性的モチベーションが低く、配偶者防衛行動をほとんど示さなかった。一方、生まれてから性成熟まで同じ水槽で飼育したメスに対しては、正常オスよりも強い配偶者防衛行動を示した。したがって、オキシトシンパスウェイがメスとの親密度依存に配偶者防衛行動を制御している可能性が考えられた。そこで、オキシトシンとその受容体変異体の全脳から抽出したRNAを用いてRNAseq解析を行った。その結果、自然免疫における補体形成に必要なc1qの構成要素であるc1qa,c1ab,c1qcの全ての遺伝子の発現量がオキシトシン関連遺伝子変異メダカにおいて減少していることが明らかになった。c1qは免疫における作用だけではなく、近年脳発達過程における神経刈り込みを制御することが明らかになっており、自閉症との関連性の報告もある。オキシトシン関連遺伝子変異メダカオスにおける配偶者防衛行動異常も神経刈り込みの異常が原因になっている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オキシトシン関連遺伝子変異体オスにおける配偶者防衛行動異常が、神経刈り込み異常に基づく神経回路成熟異常に起因する可能性を新たに提唱することができた。これは、配偶者防衛行動の神経基盤を解析するにあたり重要な知見だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
オキシトシンとその受容体変異体の脳から抽出したRNAを用いたRNAseq解析により、オキシトシンパスウェイに異常が起きるとc1qなど、神経刈り込みに必要な遺伝子の発現が減少していることが明らかになったので、c1qの変異体を作製し、配偶者防衛行動に異常が生じるかを検証する。
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Causes of Carryover |
計画に沿って使用したが、若干残額が生じた。次年度に試薬の購入を計画している。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Sexually dimorphic role of oxytocin in medaka mate choice2020
Author(s)
Yokoi Saori、Naruse Kiyoshi、Kamei Yasuhiro、Ansai Satoshi、Kinoshita Masato、Mito Mari、Iwasaki Shintaro、Inoue Shuntaro、Okuyama Teruhiro、Nakagawa Shinichi、Young Larry J.、Takeuchi Hideaki
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 117
Pages: 4802~4808
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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