2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K16248
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
人羅 菜津子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 講師 (40762191)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 神経科学 / 精神疾患 / 記憶学習 / 葛藤行動 / 意思決定 / うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
報酬刺激と嫌悪刺激が共存する葛藤状況における適切な行動選択は、生物が環境に適応して生存するために重要である。葛藤状況にある動物は、報酬を獲得するまでに2つの意思決定段階を経る。最初のステップは「行動するかどうか(whether to act)」であり、動物は、決断に至るまでは安全な場所に静かにとどまる行動を示す(suspension)。最初のステップで行動を起こすという決断をすると、次に「いつ、どのように行動するか(when and how to act)」を決定しなければならない。この第2のステップでの行動方針を決定するために、動物はリスク評価行動(risk assessment)を示し、最終的に報酬に到達する。古典的な葛藤試験の多くは最終的に行動を起こした否かを評価するものであり、報酬獲得に至るこれらの異なる行動プロセスを区別して評価することが困難であった。 私たちは、葛藤状況における異なる行動プロセスを定量的に評価できる新しいパラダイム、3コンパートメント葛藤試験を開発した。実験環境はスタート、フラット、グリッドの3つのコンパートメントから成り、マウスはスタートコンパートメントから試行を開始して、フラットコンパートメントを通過し、グリッドコンパートメント上で 10 % スクロース水を得ることができるが、グリッドコンパートメントでは弱い電気ショックを受けるリスクがある。総合的な葛藤の程度の指標として、試行開始からスクロースを獲得するまでの潜時を計測した。また、Suspension とrisk assessmentにおける葛藤の程度の指標として、それぞれ、スタートコンパートメント滞在時間と引き返し回数を計測した。その結果、これらの指標は葛藤条件づけによって増加し、抗葛藤作用を有するジアゼパムの投与により低下した。
|