2019 Fiscal Year Research-status Report
マウスヒゲシステムを用いた小脳への感覚信号経路の解析
Project/Area Number |
19K16278
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久保 怜香 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (20835962)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小脳 / 体性感覚 / 神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
体性感覚情報は大脳皮質に伝達され、相応した行動・運動を行うために活用される。体性感覚情報は大脳皮質以外の脳領域にも伝達されるが、その伝達経路や機能的意義については不明な点が多い。本研究では、マウス口辺ヒゲ領域から視床―中脳領域area parafascicularis prerubralis(PfPr)で中継され小脳に至る触覚信号伝達経路をモデルとして、その経路の同定と機能的意義の解明を主な目的としている。 ヒゲ領域から小脳皮質プルキンエ細胞への信号経路には、下オリーブ核からプルキンエ細胞に投射する登上線維を介した経路と、小脳皮質顆粒細胞の軸索である平行線維を介する経路の2通りある。2018年に登上線維を介する経路において、PfPrが中継核であることを明らかにした(Kubo et al., 2018)。2019年度は、平行線維を介する口辺ヒゲ領域から小脳皮質プルキンエ細胞への信号経路の同定を目的として研究を実施した。ヒゲに投射する感覚神経である眼窩下神経を刺激し、小脳皮質プルキンエ細胞にて観察されるsimple spikeの応答を解析した。神経活動を抑制させるmuscimolを標的神経核に投与し、その神経核が平行線維を介する経路における中継核であるかどうか調べる実験を行ったところ、simple spike応答の一部が、PfPrに加えて、橋の神経核である尾側橋網様核・橋灰白質へのmuscimol投与によって抑制され、これらの脳領域が平行線維を介する経路の一部における中継核であることが分かった。また、逆行性トレーサー注入実験により、PfPrから尾側橋網様核、PfPrから橋灰白質への直接投射が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平行線維を介する経路に関する結果については現在論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
PfPrから尾側橋網様核の経路、PfPrから橋灰白質の経路が眼窩下神経刺激中活性化しているかどうか確かめる実験を進行中である。さらに、本研究目的の一つであるヒゲ領域からPfPrを介した小脳への信号経路の機能的意義を解明するため、PfPr選択的阻害によるヒゲの動きの変化の解析を実施する予定にしており、使用機器もおおむね揃っている。
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