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2019 Fiscal Year Research-status Report

単一神経細胞の動態追跡による神経回路モジュール構築機構の解明

Research Project

Project/Area Number 19K16281
Research InstitutionNational Institute of Genetics

Principal Investigator

中川 直樹  国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 助教 (30835426)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2021-03-31
Keywords神経科学 / 神経回路形成 / 生体イメージング / バレル皮質 / 単一細胞動態追跡
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、マウス体性感覚野においてヒゲ触覚情報処理を担うバレル型神経回路モジュールをモデルとして、感覚情報を受ける大脳皮質第4層神経細胞(L4神経細胞)がモジュールごとにグループ化し、空間的・機能的に独立した単位回路を構築する機構の解明を目指す。2019年度は、生体イメージングによるL4神経細胞のバレルモジュール形成過程での動態追跡法を確立し、基本的な細胞移動パラメータを明らかにすることを目標とした。
当初の計画通り、視床皮質軸索とL4神経細胞をそれぞれGFPと核局在型RFPで標識し、二光子顕微鏡を用いたタイムラプスイメージングを行い、バレル領域におけるL4神経細胞の移動を観察した。バレル形成期である生後3~6日目にかけてイメージングを行い、同一神経細胞の移動を4日間に渡り追跡することに成功した。観察終了後、組織学的解析によってイメージング領域を確認したところ、バレルの組織学的形態に大きな異常は認められず、複数回にわたる二光子レーザー照射の悪影響は排除できると考えられた。以上より、L4神経細胞の動態追跡のための実験系を確立できたと考えている。
得られたデータから個々のL4神経細胞の移動パターンを解析し、予備的ではあるもののバレル形成期におけるL4神経細胞の基本的な細胞移動パラメータ(速度、軌跡等)を算出した。しかし、細胞移動の定量解析法はまだ開発段階であり、今後さらなる改善を行いバレルモジュール構築に重要な神経細胞の分布再編ダイナミクスの解明を目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初設定していた2019年度の達成目標の一つであり、本研究の主要な実験手法である「生体イメージングによるL4神経細胞のバレルモジュール形成過程での動態追跡法」の実験系を確立できたことが最大の理由である。L4神経細胞への核局在型RFP遺伝子導入の条件検討によって、L4神経細胞へのほぼ特異的な遺伝子導入と、バレル皮質全域への広範な遺伝子導入が実現した。その結果、単一視野で5-6個のバレルを観察することが可能となり、同一個体の複数のバレルモジュールについて、L4神経細胞の移動データを取得することが可能となった。また、生後1週目のマウスは脆弱で、授乳を含めた母親からのケアが必須であるが、イメージングのために頭部に施術する観察窓が正常な発達を阻害する可能性が考えられた。この点について、観察終了時点で、観察窓を施術しイメージングを行った仔マウスの体重は、手術をしていない同腹仔と同等であったことから、母親からのケアを正常に受け、正常に成長したと考えられた。
一方で、本年度のもう一つの目標である、L4神経細胞の基本的な移動パラメータの解明に関しては、完全な達成には至っていない。大きな理由として、細胞移動の定量解析法がまだ開発段階であることが挙げられる。特に、バレルの形成に寄与する能動的な神経細胞移動と、成長に伴う大脳皮質の拡大による受動的な細胞移動とを区別し補正するパラメータの設定に改善の余地があると考えており、次年度も引き続き改善に取組む予定である。

Strategy for Future Research Activity

2020年度は、上記の細胞移動パラメータの解析手法改善およびサンプルデータの収集に取組むとともに、当初の計画に従って、L4神経細胞の神経活動を操作した条件下で生体イメージングを行い、L4神経細胞のバレルモジュール形成移動に果たす神経活動の役割の解明を試みる。
神経活動の操作は、申請時に計画した毛根焼灼ではなく、特別な機器が不要な眼窩下神経の外科的切除によって行う。眼窩下神経切除でも同様にバレルの形成異常が生じることはすでに報告されている。別の手法として、興奮性神経伝達を担うNMDA型グルタミン酸受容体の必須サブユニットNR1の遺伝子欠損による神経活動操作も行う予定である。これらの物理的・遺伝学的操作により、感覚入力(神経伝達)を阻害した条件で生体イメージングによるL4神経細胞の動態追跡を行い、移動パターンに生じる変化を解析する。

Causes of Carryover

次年度使用が生じた理由:物品費については実験の効率化により当初予定していた金額より下回った。旅費については、当初参加を予定していた日本神経科学大会(新潟)への参加を取りやめたため、予定していた金額より下回った。

使用計画:次年度の使用額は当初予定していた研究計画の遂行に使用するとともに、研究成果の発表を積極的に行う。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] Long-term in vivo imaging of neuronal spatial remodeling during the barrel column formation2019

    • Author(s)
      Naoki Nakagawa, Takuji Iwasato
    • Organizer
      New Frontier in Neuroscience 2020
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-01-27  

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