2023 Fiscal Year Annual Research Report
Neural processing for network representation of spatial map
Project/Area Number |
19K16292
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 裕輔 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (90723669)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 空間スケール / 空間表象 / 空間学習 / メタ学習 / バーンズ迷路 |
Outline of Annual Research Achievements |
場所の物理的・幾何学的な特徴が,海馬や内側嗅内皮質等の場所細胞や格子細胞等の神経細胞群によって表現されることがよく知られている.一方で,ネットワーク表現は,場所の物理的・幾何学的情報を 「要約」した表象とみなせ,空間記憶・学習において重要な役割を担っていることが想定できる. 本年度までの実績で,空間学習中の探索地点のネットワーク構造が空間スケールによって調整されることを発見した.具体的に,直径3mサイズのバーンズ迷路(BM3)では,探索地点を結ぶネットワークの媒介中心性が一定となるように,異なる複数のエリアを接続するような「ハブ」となる探索地点が学習後期においても維持され,一方,直径1mサイズのバーンズ迷路(BM1)では,そのような地点は学習に伴って消失することが示唆された. また,BM3 を先行して学習すると,後の BM1 での学習が促進され,ある種のメタ学習が成立していることが示唆された.このとき,BM 課題にナイーブなマウスに比べ,BM3 を経験したマウスは,BM1 学習中に媒介中心性が顕著に減少した.一方で,BM1 を学習した後に BM3 を学習しても,メタ学習による促進効果は限定的であった.このとき,BM ナイーブなマウスも BM1 を経験したマウスも,BM3 学習中の媒介中心性の推移は同程度であった.これらの結果から,空間探索地点のネットワーク構造の媒介中心性が,尺度空間と空間学習順序の両方に調整されることが示唆され,可能な神経基盤が考察された.本研究の成果は2023年度に論文化された.
|