2019 Fiscal Year Research-status Report
神経―免疫相互作用による炎症時のリンパ管新生制御機構
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19K16297
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松田 弘美 北里大学, 医学部, 助教 (00525743)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RAMP1 / リンパ管 / 免疫細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
痛みや炎症などの侵害刺激が加わると軸索反射を介して知覚神経から神経ペプチドであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(Calcitonin gene-related peptide, CGRP)が遊離される。CGRPはその受容体である受容体活性調節蛋白1(Receptor activity modifying protein 1, RAMP1)に作用する。申請者らはRAMP1が免疫細胞に発現し、RAMP1シグナルを介して創傷治癒におけるリンパ管新生を増強することを報告した。一方、腹膜炎に伴う炎症性腹水排液に横隔膜リンパ管が関与することを見いだした。CGRPはRAMP1受容体を介して炎症を調節する作用がある。しかし、腹膜炎によって誘導される横隔膜リンパ管新生にRAMP1シグナルが関与するのか、またその制御機構は十分に理解されていない。本研究では知覚神経から遊離されるCGRPのリンパ管新生への作用と、その制御機構について検討した。雄性C57BL6マウス(WT)または雄性RAMP1 ノックアウトマウス(RAMP1-/-)の腹腔内にLPSを頻回投与して腹膜炎モデルを作成した。WT に比較してRAMP1-/-においてリンパ管新生が抑制されていた。これに関連してリンパ管内皮マーカーやリンパ管新生因子もRAMP1-/-において減少した。リンパ管新生に関与する責任細胞としてT細胞(CD4陽性細胞)をカウントするとRAMP1-/-において減少した。またマクロファージ集積について検討すると、逆にRAMP1-/-において増加した。この理由を探るためにマクロファージの表現型に着目して検討した。その結果、炎症性マクロファージの集積がRAMP1-/-においてより増加し、修復性マクロファージの集積はWTで増加している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が、当初に立案した実験計画に沿って、ほぼ順調に遂行されている。 今年度ではマウス腹膜炎モデルを用いて横隔膜に新生するリンパ管を解析した。この確立したモデルを野生型マウスとRAMP1 ノックアウトマウス(RAMP1-/-)に作成してリンパ管新生におけるRAMP1シグナルの役割を検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は横隔膜リンパ管機能を評価する。さらにT細胞やマクロファージを分離培養して細胞培養によりRAMPシグナルがリンパ管新生に関与することを検証する。
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Causes of Carryover |
購入予定であった消耗品の納入が間に合わなかったこと、動物飼育費の一部は来年度に請求されたために次年度に繰り越した。
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Research Products
(2 results)