2021 Fiscal Year Annual Research Report
カルボキシ基の多点活性化を基軸とする革新的触媒変換法の開発
Project/Area Number |
19K16315
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
道上 健一 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20838742)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | gem-ジボリルアルカン / カルボン酸 / アミド化 / 縮合 / ペプチド / 脱プロトン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
gem-ジボリルアルカンの構造特性に着目し、その新規合成・変換法の開発からアミド縮合触媒の創製、およびさらなる応用を目的とし、研究を行ってきた。2021年度は前年度に計画した「プロトンシャトルを含む多機能触媒」を含め、多種多様なgem-ジボリルアルカンを合成する新規手法の開発に主に取り組んだ。 gem-ジボリルアルカンの合成や分子変換に広く用いられるピナコラートボリル(Bpin)基では、ホウ素隣接位(以下、「α位」と呼称する)における脱プロトン化に適用できる塩基がLDAとLTMPのみであるという大きな制約がある。そこで、ホウ素のルイス酸性およびαアニオン安定化能を底上げする電子求引性ジオールを活用し、新規gem-ジボロン酸エステルを開発した。これにより、α位における脱プロトン化に利用できる塩基の種類が拡張されたのみならず、従来法では困難であったα位第四級gem-ジボリルアルカンの触媒的合成をも達成した。また、この過程で新たなgem-ジボロン誘導体およびgem-ジボロン酸の温和な合成法を見出し、確立しつつある。 本研究課題を通して、構造修飾したgem-ジボロン酸が従来の芳香族ボロン酸では困難なペプチド縮合を温和な条件下、触媒することを明らかにした。また、反応機構に関する予備的知見から、gem-ジボロン酸は既存の有機ホウ素触媒と異なり、カルボン酸ではなくカルボキシラートアニオンと強く相互作用し、活性化していることが示唆された。一方、アミノ酸ではない一般的なカルボン酸とアミンの縮合に関して、触媒の電子状態や基質の構造と反応効率に一定の相関が認められた。したがって、触媒活性を高めるためにはさらなる機能性官能基の導入が不可欠であったが、既存の合成法ではそれが困難であったため、新たに開発した新規gem-ジボロン酸エステルを駆使し、様々な多機能性gem-ジボロン酸触媒を今後検討していく。
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