2020 Fiscal Year Research-status Report
制がん白金二核錯体の輸送機構の解明とオキサリプラチン耐性大腸がんに対する活性評価
Project/Area Number |
19K16340
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
植村 雅子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (70511997)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 白金錯体 / 細胞内蓄積 / 抗がん剤 / 大腸がん / オキサリプラチン耐性 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
テトラゾラト架橋白金(II)二核錯体(テトラゾラト架橋錯体)の誘導体の1つが、大腸がんに対して、大腸がん治療薬オキサリプラチンよりも優れたin vivo 抗腫瘍効果を発揮することが明らかにされている。本研究は、大腸がん細胞において、テトラゾラト架橋錯体の細胞内蓄積に関与するトランスポーターを同定することで、テトラゾラト架橋錯体の作用機序の一端を解明し、オキサリプラチン耐性がんにも有効なテトラゾラト架橋錯体の創出へ寄与することを目的とする。 昨年度までに、HCT116 ヒト大腸がん細胞(HCT116細胞)に対して、オキサリプラチンの反復暴露を行うことにより、オキサリプラチン耐性 HCT116 細胞株(HCT116_R細胞)を樹立した。HCT116_R細胞は、オキサリプラチンに対して、50%阻害濃度(IC50)で約2倍、20%阻害濃度(IC20)で約4倍の耐性を示した。今年度は、HCT116_R細胞に対する既存の白金製剤(シスプラチン、カルボプラチン)およびテトラゾラト架橋錯体のin vitro 細胞増殖抑制活性を明らかにした。HCT116細胞における活性と比較して、シスプラチンおよびカルボプラチンでは変化がなかった一方で、テトラゾラト架橋錯体では、オキサリプラチンと同様に活性が低下することが分かった。また、その細胞内蓄積量を明らかにした結果、テトラゾラト架橋錯体は、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンと比較して、低濃度(1 uM)でもHCT116細胞に多く蓄積されることが分かった。また、1 uMでHCT116_R細胞に作用した場合、テトラゾラト架橋錯体においてのみ、有意に細胞内蓄積量が低下することが明らかになった。これらから、HCT116_R細胞では、テトラゾラト架橋錯体の細胞内への取り込みに関与するトランスポーターが減少している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HCT116_R細胞において、テトラゾラト架橋錯体の細胞内取り込みに関するトランスポーターが減少している可能性が示されたことから、二次元電気泳動ディファレンシャル・ディスプレイ解析による発現タンパク質解析を計画した。本解析については、当初計画通り、受託解析を利用している。サンプルの送付の際に予期せぬトラブルが発生したために、サンプルの再準備が必要となり、解析結果を得るのには至っていないことから、当初計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
受託解析による二次元電気泳動ディファレンシャル・ディスプレイ解析の結果に基づき、HCT116_R細胞において、テトラゾラト架橋錯体の細胞内取り込みに関する要因を明らかにする。それと並行して、これまでに報告されているオキサリプラチン耐性に関わるトランスポーターについて阻害実験を行い、テトラゾラト架橋錯体の細胞内への取り込みへの関与について明らかにする。また、これまでに合成されている複数のテトラゾラト架橋錯体を用いて、HCT116_R細胞に対するin vitro 細胞毒性試験を行い、構造活性相関を構築する。
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Causes of Carryover |
受託解析におけるトラブルのため、残高が生じた。また、当初計上した旅費を使用することがなく、研究成果発表用費用も予算額より下回った。これらは、次年度で計画当初の目的通りに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)