2022 Fiscal Year Research-status Report
制がん白金二核錯体の輸送機構の解明とオキサリプラチン耐性大腸がんに対する活性評価
Project/Area Number |
19K16340
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
植村 雅子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (70511997)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 白金錯体 / 細胞内蓄積量 / 抗がん剤 / 大腸がん / オキサリプラチン耐性 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、テトラゾラト架橋白金(II)二核錯体(テトラゾラト架橋錯体)の細胞内蓄積に関与するトランスポーターを同定することで、テトラゾラト架橋錯体の作用機序の一端を解明し、大腸がん治療薬オキサリプラチンに対して耐性を示すがんにも有効なテトラゾラト架橋錯体の創出へ寄与することを目的とする。これまでに、新たに樹立したオキサリプラチン耐性ヒト大腸がん HCT116 細胞株(HCT116_R細胞)を用いて、テトラゾラト架橋錯体のリード化合物の一つである5-H-Yは、オキサリプラチンに交叉耐性を示すことを明らかにした。また、有機カチオントランスポーター(OCT)の阻害物質であるシメチジンを用いた競合阻害実験によって、テトラゾラト架橋錯体の細胞内取り込みにOCTが関与することが示唆された。 本年度は、別のOCT阻害物質tetraethylammonium (TEA)およびNa, K-ATPase阻害物質ウアバインを用いて、競合阻害実験を行った。TEA共存下では、オキサリプラチンおよび5-H-Yとも約30%細胞内蓄積量が減少した。一方、ウアバイン共存下では、オキサリプラチンの細胞内蓄積量が約10%減少したのに対して、5-H-Yでは約2倍に増加した。これらの結果から、5-H-Yの細胞内/外への輸送に、それぞれOCT/Na, K-ATPaseが関与していることが分かった。さらに、オキサリプラチン耐性がんに有効なテトラゾラト架橋錯体の探索の予備検討として、数種の5-H-Y誘導体を用いてin vitro細胞増殖抑制活性に対するTEAの影響を調べたところ、全ての誘導体において、in vitro細胞増殖抑制活性の低下が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
競合阻害実験によって、二種類のトランスポーターが、テトラゾラト架橋錯体の細胞輸送に関与していることが明らかにすることができた。ただし、当初予定していたRNAi法による確認が未実施である。トランスポーターの探索に関しては、2021年度に二次元電気泳動ディファレンシャル・ディスプレイ解析(外部委託)も行った。2022年度は、HCT116細胞とHCT116_R細胞の間において、発現量が有意に変化していたタンパク質(1.5倍以上増加:189種、1/1.5以下に減少:33種、他3777種)の精査を進めることができたが、新たなトランスポーターを候補として挙げるには至らなかった。また、オキサリプラチン耐性がんに有効なテトラゾラト架橋錯体の探索については、HCT116_R細胞を用いてin vitro細胞増殖抑制活性を調べている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内への輸送に関与することが分かったOCTには、数種のアイソフォームが存在することが知られている。今後、realtime RT-PCR法やウェスタンブロット解析、RNAi法により、どのOCTが細胞内への輸送に最も寄与しているかについて検討する予定である。また、新たなトランスポーターの探索のため、二次元電気泳動ディファレンシャル・ディスプレイ解析によってHCT116細胞およびHCT116_R細胞間で発現量に差が見られたタンパク質の精査も行う。さらに、一連のテトラゾラト架橋錯体の誘導体を用いて、HCT116_R細胞におけるin vitro細胞増殖抑制活性評価を行い、オキサリプラチン耐性がんにも有効なテトラゾラト架橋錯体の創出に必要な基本情報の取得を目指す。
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Causes of Carryover |
HCT116_R細胞の培養条件の検討に想定したより時間を要し、実験の半ばであるため、それに伴い未使用分が生じた。RNAi法についても同様である。また、当初計上した旅費や研究成果発表用費用が予算額より下回った。これらは、次年度で計画当初の目的通りに使用する予定である。
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Research Products
(6 results)