2020 Fiscal Year Research-status Report
母乳中アデノシンデアミナーゼ2の産生メカニズムと腸管粘膜組織における役割の解明
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19K16355
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
伊藤 萌子 北海道科学大学, 薬学部, 講師 (60711827)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アデノシンデアミナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
乳汁中には成長因子や免疫調節因子など多種多様な生理活性物質が含まれ、直接または間接的に細胞の増殖・成熟を促すことが知られているが、母乳中には機能未知の成分が未だ多く、新生児期の発達と母乳栄養の関連は十分に解明されていない。 プリンヌクレオチド代謝酵素として知られるアデノシンデアミナーゼ(以下ADA)にはADA1とADA2のアイソザイムが存在し、健常人の血中のADA活性はADA2が60 - 70%を占めている。ADA2の生理作用として成長因子様作用があり、また、ADA2を遺伝的に欠損すると全身性の炎症や血管障害に関する自己炎症疾患を発症する。 本研究は、乳汁中のADA2の生理的意義を解明することを目的として、その産生と組織の成熟に及ぼす影響を解析している。2020年度までに、産後7日間の乳汁のADAの活性変動を明らかにした。特に初乳のADA活性は、血中よりも高い傾向があった。3日目以降、ADA活性は減少し、以後7日目までは同程度の活性が維持された。また、乳汁に存在し、細胞間情報伝達に関わるエクソソームの内包成分中にもADA活性があることを明らかにした。産生細胞の同定のため、乳汁中の細胞及び乳腺上皮細胞のADAの遺伝子発現解析を進めている。また、乳汁中ADA2は血中ADA2と同様にヘパリン結合性を示した。ヘパリンセファロースにより乳汁からADA2が分離され、現在抗ADA2抗体を利用して単離精製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度までに、乳汁ADA2の産生メカニズムの解明について、乳汁中のADA及びその関連酵素の活性とタンパク質検出が終了したため、産後7日間における乳汁のADA活性変動を中心に2020年度日本薬学会で発表を行った。一方、産生細胞の同定は現在進行中であり、乳汁中の細胞を分離し、RT-PCR法による遺伝子発現解析を進めているが、結果がまだ得られていない状況にある。このため全体としては、進行はやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
1)乳汁ADA2の産生細胞の同定を進める。乳汁中のADA2は、乳清の液体成分中の他、エクソソーム中にも存在することに着目して産生メカニズムを解明する。2)乳汁中からADA2を単離精製し、組織の成長因子様作用を中心に機能解析を進める。
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Research Products
(2 results)