2019 Fiscal Year Research-status Report
ガングリオシドのアシル鎖構造によるToll様受容体制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K16356
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
狩野 裕考 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (40774279)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / ガングリオシド / TLR4 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性炎症は、Toll様受容体4(TLR4)などの活性化によって引き起こされ、メタボリックシンドロームの発症を強く促進する。これまでに申請者は、①肥満時に体内で増加するスフィンゴ糖脂質:ガングリオシドGM3が、TLR4に作用することで慢性炎症を引き起こすこと、②その作用は、GM3に含まれる脂肪酸(アシル鎖)の化学構造(鎖長や不飽和度)の違いによって調節を受けること、を見出している。本研究課題では、異なるアシル鎖構造を持つGM3が体内で産生されるメカニズム、さらにTLR4を活性化してメタボリックシンドロームを発症へと導くメカニズムを、分子レベルで明らかにする。 当該年度は、以下の研究成果を得た。(1) ガングリオシドGM3によるTLR4活性化を解析するため、生細胞分子イメージング手法の確立を行った。細胞膜上および内在化したTLR4/MD-2複合体を、同時に区別してイメージングすることが可能になった。これによる本来のシグナル伝達への影響はほとんどないことも確認できた。 (2) 当初の計画に加えて、フローサイトメトリー法を用いることで、ガングリオシドGM3によるTLR4活性化状態(会合、内在化)を解析することが可能になった。本手法は先行研究によって確立されていたが、そのままでは本課題の解析に適用することができなかった。方法の改変と最適化を行うことによって、GM3によるTLR4の会合状態・内在化への影響を検出することが可能になった。(3) 課題申請の基盤となった知見や、これまでに得られた成果について、論文作成と投稿を行った。また、国内外の学会で、これまでに得られた成果について発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って、新たに生細胞における分子イメージング手法を確立することができた。また、それを補完する手法として、フローサイトメトリー法による解析方法を確立することができた。これらの手法を用いた解析によって、新たな知見が得られることが期待できる。 また、これまでに得られた成果について、論文の作成・投稿、および学会発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した手法を用いた解析によって、GM3によるTLR4制御の解析を細胞・分子レベルで行う。また、マウス個体を用いた解析によって、投与したGM3の作用による病態への影響や、内在性GM3の発現メカニズムの解析に取り組む。
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Causes of Carryover |
2020年3月に参加確定していた国際学会(Gordon research conference, Glycolipid and Sphingolipid Biology, Italy)が、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって2022年に延期となったため、その分の旅費を計上できなかった。翌年度に実験動物を用いた解析を予定しており、配分額を合わせることで、より円滑な計画の実施が期待できる。
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