2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン修飾異常解明に向けたヒストンアセチル化酵素翻訳制御因子の同定と機能解明
Project/Area Number |
19K16357
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
坂本 明彦 千葉科学大学, 薬学部, 助教 (10737290)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒストン修飾 / ヒストンアセチル化酵素 / ポリアミン / 翻訳 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストンアセチル化酵素HATsの発現の誤制御はヒストンのアセチル化修飾異常を引き起こし、がんなどの疾患の発症に寄与することが知られている。しかし、HATsの発現を制御する明確な因子は同定されておらず、誤制御がおこるメカニズムは不明である。我々は、RNAと相互作用し細胞増殖促進因子として機能するポリアミンがヒストンアセチル化レベル、ヒストンアセチル化酵素Gcn5及びHat1の発現を翻訳レベルで有意に上昇させることを見出した。Gcn5及びHat1特異的にアセチル化されるヒストンH3及びH4のリジン残基のアセチル化レベルは、ポリアミンにより有意な増加が認められた。そこで、細胞増殖関連遺伝子(Ki-67, Pcnaなど)のmRNA量を測定した結果、ポリアミンにより有意に増加した。また、クロマチン免疫沈降により、細胞増殖関連遺伝子のプロモーター領域をポリアミンの有無で調べた結果、ポリアミンにより活性化されることが明らかとなった。次に、ポリアミンによるGcn5合成促進機構を解析した結果、miR-7648-5pがGcn5 mRNA 5’-UTRと相互作用し、翻訳を促進するというユニークな機能を有していること、ポリアミンがGcn5 mRNAとmiR-7648-5pとの相互作用を強めることで、Gcn5を翻訳レベルで合成促進することが明らかとなった。Hat1においては、5'-UTRが短いことから、ポリアミンがMet-tRNAとmRNAとの結合を促進することが考えられた。以上の結果より、ポリアミンはヒストンアセチル化酵素Gcn5及びHat1 mRNAの5'-UTRに作用し、翻訳レベルで合成促進することで、ヒストンアセチル化を介して遺伝子発現を制御することが明らかとなった。
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Research Products
(10 results)