2020 Fiscal Year Research-status Report
リポキシトーシスの実行を制御するユビキチンリガーゼの同定とその機能解析
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19K16358
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松岡 正城 北里大学, 薬学部, 助教 (80749151)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
Rbx1とc87436が細胞死経路において、相互作用し細胞死の進行を担っていることを想定して研究を進めましたが、相互作用し細胞死の制御を行っていることは確認できませんでした。そこで、新たな相互作用分子を高感度質量分析器であるorbitrap型質量分析器Q-Exactiveを用いて網羅的に解析することにした。その結果、すでに報告のあるタンパク質を含む約700種類のタンパク質を検出することができた。しかし、細胞死の進行時に特異的に相互作用しているタンパク質は検出できず、細胞死の進行時に相互作用の変化するタンパク質を探索することにした。そのため、安定同位体標識したアミノ酸を用いた質量分析器による比較定量解析を行い、細胞死の進行時にRbx1と相互作用が増強または減弱したタンパク質を同定することに成功した。この解析により見出してきたタンパク質は、細胞死の進行を担っているタンパク質の可能性が非常に高い。見出してきたタンパク質をコードしている遺伝子の発現抑制を行い細胞死に与える影響を評価したところ、いくつかの遺伝子において発現抑制をすると細胞死の進行を妨げることを明らかにしました。以上のことから、本研究において当初の目的していたRbx1を含むユビキチンリガーゼによる細胞死の制御機構の解明に向けて非常に大きな前進をしたといえる一年であったと思われる。また、この解析系を、Ube2d1 やC87436に応用すれば細胞死の進行時に相互作用しているタンパク質を見いだせる可能性が非常に高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、リポキシトーシス誘導時にRbx1と相互作用している分子としてC87436を見出し解析していたのだが、別々の複合体で機能していることを見出した。そこで、Rbx1を含む複合体の構成因子の探索をし直すことにした。Rbx1は、相互作用分子の報告数が多く、実際に解析してみると700種類以上の相互作用タンパク質を通常状態で検出することができた。そして、リポキシトーシス誘導時に顕著に変動する特異的なタンパク質も見られず、高感度な解析系の導入の必要性出てきた。そのため、飛行時間型MSでの解析では検出しきれない可能性が高くOrbitrap-MSを用いた高精度なプロテオミクス解析系の構築から行うことにしたため、当初の予定より遅れることになった。現在のところ、解析系の構築には成功し細胞死の実行に係る相互作用分子を見出すことにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析において、Rbx1をターゲットにしたorbitrap-MSを用いた高感度プロテオミクス解析により、リポキシトーシス誘導時にRbx1との相互作用が増強したたんぱく質を見出した。さらに、Rbx1と相互作用が増強したたんぱく質について、単独で発現抑制を行いリポキシトーシスの進行を抑制できる分子を見出した。Rbx1と相互作用しておりリポキシトーシス経路に関わるタンパク質は見出したが、見出したタンパク質がRbx1を含むユビキチンリガーゼの基質なのか複合体の構成因子なのかを同定したたんぱく質ごとに検証する必要がある。そこで、今年度の解析では、同定したたんぱく質についてRbx1とどのようにかかわっているのかを明らかにしていくことを目標に同定したたんぱく質について、それぞれHAtag、flagtag、myctagなどと融合したタンパク質を精製し、結合している分子を解析し、それぞれの役割、関係性を明らかにしていく予定である。 また、C87436をターゲットにしたorbitrap-MSを用いたプロテオミクス解析も行い、C87436のリポキシトーシス経路 における役割や相互作用分子の解明を行う。
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