2019 Fiscal Year Research-status Report
ストレスメディエーターClaspinによるストレス反応の統合的な制御機構の解明
Project/Area Number |
19K16367
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
楊 其駿 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (80792647)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Claspin / ストレス応答 / 仲介分子 / 複製ストレス / 血清飢餓 |
Outline of Annual Research Achievements |
Claspinは複製障害ストレスに対する細胞応答経路でsensor kinase(ATR)からeffector kinase(Chk1)へとシグナルを伝えるmediatorとして機能する。本研究では、これらのプロセスでのClaspinの詳細な機能を解明するとともに、Claspinが種々のストレスに対する細胞応答を統合的・協調的に制御するメカニズムを分子レベルで解明することを目的とする。 本研究では、種々のストレス細胞応答におけるClaspinの仲介分子としての機能解明に関して研究をした。 1.血清飢餓への応答におけるClaspinの役割:Claspin欠損細胞では、血清飢餓からの増殖再開が障害を受ける。Claspin欠損細胞は、血清飢餓の状態で、細胞はアポトーシスの現象を発見した。血清飢餓からの増殖再開した時、Claspin欠損細胞は老化のシグナルも出た。更に、Claspinは修飾する可能性が見つかった。しかし、血清飢餓と血清飢餓への応答はChk1経由しないことを発見した。Claspinは栄養応答シグナル伝達系に関与するmTOR、PI3 kinase、PDK1と相互作用することを見出した。血清飢餓の増殖再開時にClaspin欠損細胞のp53タンパク質は大量発現する。p53阻害剤を処理した時、生存率は高くなった。Claspinはp53を通じて、血清飢餓のストレスを応答することが分かった。 2.他のストレスへの細胞応答におけるClaspinの役割:これまでの実験結果から様々なストレスシグナル(酸素ストレス、浸透圧、温度と細菌毒素)はDNA複製を阻害し、Claspinは種々のストレス存在下で、下流Chk1のリン酸化を促進することが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血清飢餓と血清飢餓からの増殖再開への応答に対し、ClaspinはATR/CHK1ルートではなく、新しいAKT/mTOR/p53ルートが見つかった。更に、Claspin欠損細胞は血清飢餓からの増殖再開への生存率が低くなった。しかし、Claspin分子の中の役割はまだ解析が必要である。さらに、Claspinは酸素ストレス、浸透圧、温度と細菌毒素などのストレスに対し、下流CHK1リン酸化の機能があることも分かった。しかし、上流センサー分子、下流エフェクター分子はまだ分からない。酸素ストレス、浸透圧、温度と細菌毒素以外のストレスも解析が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
血清飢餓への応答におけるClaspinの役割:同定されたタンパク質が、血清飢餓および増殖再開時のClaspinを介するシグナル伝達の経路に関与するかどうかについては、ノックダウンやCRISPR/Cas9で作製したノックアウト細胞の作製を開始して、検討を進める。Claspinは血清飢餓への応答する時、Claspinの修飾アミノ酸と修飾Claspinの相互作用分子を同定する。 他のストレスへの細胞応答におけるClaspinの役割:これまでの実験結果からClaspinはPI3 kinase-related kinase(PIKK)と相互作用しその下流で仲介分子として種々のストレスシグナル(酸素ストレス、浸透圧、pH、温度、核小体ストレス、小胞体ストレスなど)を下流に伝達する可能性を想定している。そこで、種々のストレス存在下でのClaspin相互作用分子をより網羅的に同定する。これらの中には、特定のストレス応答におけるClaspinの上流、下流分子が含まれる可能性があるが、その中からさらに解析する候補を選定する。同定され、選定された分子が、実際に、当該ストレスへの細胞応答に必要かどうかを検討するために、CRISPR/Cas9ノックアウト細胞、あるいは、siRNAを用いて発現抑制を行う細胞系を確立する。Claspinと、同定された上流センサー分子、下流エフェクター分子との相互作用部位をClaspin上でマップする。同定された相互作用部位の変異体Claspinを作製し、それらが特定のストレス応答に欠損を示すか検討するための準備実験を行う。代表者の研究室で作製した、Claspinの臓器特異的ノックアウトを用い、個体レベルでのストレス応答に及ぼすClaspinの影響を解析する。
|
Causes of Carryover |
来年度は血清飢餓、様々なストレスに対し、細胞はどんな応答を解明するため、ウェスタン解析用とマス解析用抗体、RNAとDNAシーケンス解析など高額経費が必要であり、費用がかかるため、その分を持ち起こすこととした。
|
Research Products
(1 results)