2021 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタノイド受容体サブタイプの転換と大腸がん発生・悪性化メカニズムの解明
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19K16374
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福島 圭穣 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (10805112)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロスタグランジンE2 / EP4受容体 / EP3受容体 / 薬理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プロスタグランジンE2(PGE2)が引き起こす大腸がんについて、各E型プロスタノイド(EP)受容体サブタイプの役割の解明を目指すものである。令和3年度は、がんゲノム・ビッグデータの解析を進め、各EP受容体サブタイプを高発現するヒト大腸がんクラスターの遺伝子発現情報の解析を行った。その結果、EP3受容体を高発現するヒト大腸クラスターは、上皮間葉転換関連因子やmesenchymalマーカーの発現が亢進した間葉系の転移性がんである可能性が明らかとなり、亢進している細胞内シグナル系として、HIF1Aの活性化やTGF-betaシグナル系の活性化などが明らかとなった。以上の結果より、EP3受容体の刺激が大腸がんの転移を促進させる事が示唆された。これらの研究結果はBiol. Pharm. Bull.紙にて発表予定である(in press)。 さらに、EP受容体サブタイプを安定発現させた細胞株を用い、PGE2およびその代謝物が受容体に作用した際に活性化する細胞内シグナル系について、実測値を使用した計算モデルを構築することで各種シグナル応答を評価した。その結果、PGE2およびその代謝物で受容体を刺激すると、EP4受容体は強いERKリン酸化活性と弱いcAMP産生活性を示す一方で、EP2受容体は強いcAMP産生活性と弱いERKのリン酸化活性を示すバイアス性が明らかとなった。また、cAMPを分解するホスホジエステラーゼ阻害薬を用いない、より生体内に近い実験条件においては、EP4受容体はEP2受容体とは異なり、ほとんどcAMP産生活性を示さないことが明らかとなった。以上の結果より、EP4受容体はERKのリン酸化の亢進を介して、大腸細胞の恒常性を破綻させている可能性が考えられた。これらの研究結果はFEBS Open Bio紙にて発表された。
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Research Products
(9 results)