2019 Fiscal Year Research-status Report
KCNQ(Kv7)K+チャネル開口薬による慢性疼痛緩解の脊髄後角シナプス機構
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19K16377
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
尾山 実砂 北里大学, 薬学部, 助教 (20804503)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疼痛 / KCNQチャネル / 抑制性 / 脊髄 / 電気生理 |
Outline of Annual Research Achievements |
KCNQ (Kv7) K+チャネル(活性化閾値が低く不活性化しないM電流に関わるK+チャネル)開口薬の全身投与が慢性疼痛モデル動物に対して鎮痛効果を示すことは先行研究により報告されてきたが、脊髄後角におけるKCNQ (Kv7) K+チャネル開口薬の鎮痛メカニズムは未解明である。2019年度は、KCNQチャネル開口薬retigabineの全身投与による鎮痛効果を我々自身による行動実験により確認すると共に、脊髄髄腔内投与による脊髄レベルでの鎮痛効果を明らかにし、また、脊髄スライス標本を用いた電気生理学的実験も開始した。坐骨神経部分結紮により作製した神経障害性疼痛モデルマウス (Seltzerモデル) に対して、retigabineを腹腔内投与(10, 30 mg/kg)あるいは脊髄髄腔内投与(10, 30 microg)すると、用量依存的に機械的アロディニアおよび熱痛覚過敏に対して緩解作用を示した。中でも、30 mg/kg腹腔内投与はSeltzerモデル作製前のレベルまで疼痛閾値を改善した。さらにretigabine 30 mg/kgの腹腔内投与15分前に、KCNQチャネル閉口薬XE-991を腹腔内投与(5, 10 mg/kg)あるいは脊髄髄腔内投与(5, 10 microg)すると、用量依存的に鎮痛効果を抑制した。これは、脊髄レベルにおけるKCNQチャネルの開口が鎮痛効果に寄与することを明確に示している。次に、Seltzerモデルマウスより作製した後根付き脊髄スライス標本を用いた電気生理学的実験では、潅流適用したretigabineが、A線維刺激誘発性興奮性シナプス後電流 (A-fiber-mediated EPSCs) および自発性興奮性シナプス後電流 (sEPSCs) に対して抑制作用を示す結果が得られつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、今まで明らかにされていなかった脊髄レベルでのKCNQチャネル開口が疼痛調節機構へ関与することを行動実験により示すことができた。また、電気生理学的実験においては、retigabineが興奮性神経伝達を抑制することを示唆する結果が得られているため、おおむね順調であると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」でも述べたが、2019年度は脊髄レベルのKCNQチャネル開口が脊髄の疼痛調節機構へ関与することを行動実験により確認した。電気生理学的実験でもretigabineが興奮性神経伝達を抑制することを示唆する結果が得られており、2020年度はこの電気生理学的実験を発展させ、データ数を集めることに集中すると共に、KCNQチャネル閉口薬XE-991の作用についても順次検討を開始したい。
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Causes of Carryover |
当初予定では、アイソレーションシステムと三次元マニピュレーターを購入予定であった。アイソレーションシステムについては予定通り購入したが、三次元マニピュレーターについては交付額が予定額に達しなかったため購入を断念し、試薬等の購入額に充てた。
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