2020 Fiscal Year Research-status Report
神経賦活薬の脳内作用メカニズム解明を目的とした薬物感受性脳細胞の解明
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19K16381
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
濱田 祐輔 星薬科大学, 薬学部, 助教 (10806326)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 活性化細胞標識法 / 中枢神経作用薬 / cFos |
Outline of Annual Research Achievements |
活性化細胞標識法 (Targeted Recombination in Active Populations, TRAP) においては、cFos などの最初期遺伝子プロモーターの選択と遺伝子組換え効率が重要である。今年度は、第二世代 cFos-TRAP (Fos-TRAP2) マウスを用いた高感度な活性化細胞標識法の技術確立を行った。Fos-TRAP2 マウスは、第一世代 (Fos-TRAP1) と異なり、内因性 cFos 発現量にはほとんど影響を及ぼさず、神経活動依存的に変異エストロゲン受容体融合 Cre リコンビナーゼ (CreERT2) を発現する。まず、Fos-TRAP2マウスと Cre 応答下で EGFP を発現させることの可能なマウスを交配させてレポーターマウス (Fos-TRAP2::LSL-EGFP マウス) を作製した。この作製したマウスは、タモキシフェン存在下で活性化神経細胞特異的にEGFPの発現誘導が可能である。このような条件下、脱抑制機構により脳内報酬系を賦活するμオピオイド受容体作動薬を投与した際の薬物感受性脳細胞の特性解析を行った。μオピオイド受容体作動薬を投与した際の薬物感受性脳細胞を EGFP 標識し、免疫組織化学的染色法に従って検討を行ったところ、腹側被蓋野領域において高感度かつ薬物摂取特異的な活性化神経細胞の遺伝子組換えの陽性反応が認められた。さらに、FACSによりμオピオイド受容体作動薬活性化神経細胞群を分取して遺伝子発現解析を行ったところ、腹側被蓋野ならびに側坐核領域において、脳内報酬系に関与する特異的遺伝子の高発現が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性化細胞標識法の確立において、cFos-TRAP2 マウスやレポーターマウス等のセットアップを比較的速やかに準備することができたため、計画に準じて本研究を実施することができた。また、タモキシフェンの投与による遺伝子組換え反応の条件設定や、標識した活性化細胞の分取方法、遺伝子発現解析方法の条件設定も確立することができたため、様々な中枢神経作用薬感受性脳細胞の特性解析を行うことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、Fos-TRAP2 マウスを用いることで、第一世代よりも高感度な活性化細胞標識法の確立を行った。最終年度は、デュロキセチンなどの様々な神経賦活薬を用いた動物モデルを作製し、各薬物固有の薬物感受性脳細胞の特性について比較解析を進める。特に、神経賦活薬によるモノアミン遊離量の変化は、広範囲な脳領域における神経活動を制御していることが想定されるため、Fos-TRAP2 マウスを用いた活性化細胞標識法と組織透明化技術を応用した三次元組織イメージングで薬物感受性脳細胞の空間的脳分布を評価する必要があると考えられる。また、神経賦活薬の薬理効果発現に対する薬物感受性脳細胞の機能的役割についても明らかにする必要がある。同定した薬物感受性脳細胞の機能解析を行う目的で、すでにセットアップが完了している光遺伝学的手法や薬理遺伝学的手法を応用し、薬物感受性脳細胞の人為的オン・オフ調節による行動学的解析を行い、薬理効果発現との関連性について検討する。
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