2019 Fiscal Year Research-status Report
小腸上皮細胞の脂肪再合成酵素及びイオン輸送体系に着目した脂質異常症発症機序の解明
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19K16383
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
田中 早織 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (10626807)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 2型糖尿病合併脂質異常症 / 消化管吸収 / 小腸の形態的・機能的変化 / トリグリセリド再合成酵素 / イオン輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では2型糖尿病に合併する脂質異常症の発症機序を解明するために2型糖尿病モデル(OLETF)ラットと対照(LETO)ラットを用いてインスリン療法および脂質含有量の異なる2種類の食事療法を1ヶ月間行い、血中脂質濃度改善効果と小腸形態・機能的変化や脂質再合成酵素(MGAT2・DGAT1)発現との連関を明らかにすることを目的とする。 本年度はOLETFラットとLETOラットに①インスリン療法(皮下埋め込み型浸透圧ポンプを用いてインスリンを6IU/dayで持続投与)、②食事療法(低脂肪食(脂質7.7%)、普通食(脂質11.9%)、高脂肪食(脂質31.2%))、③食事療法(低脂肪食(脂質2.7%)、普通食(脂質11.9%)、高脂肪食(脂質61.6%))を行った。 ①インスリン療法:インスリン療法により血糖値、総コレステロール値、中性脂肪値は糖尿群に比べて有意に減少した。脂肪吸収能に増加が見られ、小腸の形態には有意な可逆的変化が認められなかった。MGAT2、DGAT1タンパク質発現量の変化は見られなかった。 ②食事療法:OLETFラットを用いた群では低脂肪食を摂取すると高脂肪食の摂取に比べて脂肪吸収能、絨毛高が減少し、さらに血糖値、総コレステロール値、中性脂肪値も低値を示した。さらにMGAT2、DGAT1のタンパク質の減少も認められたが普通食を摂取した時の方が有意な減少が見られた。 ③食事療法:現在、解析途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた2型糖尿病モデルラットを用いたインスリン療法および食事療法を1ヶ月間、実施した。インスリン療法により総コレステロール値および中性脂肪値の血中脂質濃度改善効果には小腸の形態的・機能的変化および脂質再合成酵素発現との連関は見られなかったため、主に代謝機構が関与していると推察された。次年度に小腸上皮イオン輸送体によるインスリン抵抗性の解析を実施する予定である。食事療法では糖尿群において、高脂肪食摂取で血中脂質濃度が上昇する一因として脂質再合成酵素発現の増加が考えられた。しかしながら脂肪摂取制限のみでは血中脂質濃度改善効果は不十分であったため、脂質含有量の異なる食事療法で実施し、解析途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、昨年度に2型糖尿病モデルラットにインスリン療法および食事療法を実施して得られた小腸上皮細胞中のイオン輸送体(SMCT・NaDC)の発現変動を明らかにする。また2型糖尿病モデルラットを用いて食品・サプリメント摂取(梅エキスを通常食に混合した食餌および黒酢を乾燥させて通常食に混合した食餌を1ヶ月間摂取)を行い、血中脂質濃度改善効果と小腸形態・機能的変化や脂質再合成酵素(MGAT2・DGAT1)発現およびイオン輸送体(SMCT、NaDC)発現との連関を明らかにする予定である。
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