2019 Fiscal Year Research-status Report
アレルゲン免疫療法において増加するIgG1による制御性T細胞誘導機序の解明
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19K16385
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
松田 将也 摂南大学, 薬学部, 助教 (30783005)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アレルゲン免疫療法 / IgG1 / アレルギー / 喘息 / 制御性T細胞 / Tr1細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルゲン免疫療法を行った個体では、 血中において抗原特異的なブロッキングIgG抗体(マウスではIgG1、ヒトではIgG4)の増加、ならびに抗原特異的に反応し抗炎症性サイトカインIL-10を高産生する制御性T細胞 (type 1 regulatory T (Tr1) 細胞)の増加が報告されているが、両者のアレルギー反応に対する抑制効果ならびに抑制メカニズムの詳細は明らかでない。本研究では、アレルゲン免疫療法により増加する抗原特異的IgG1およびTr1細胞のアレルギー反応に対する抑制効果ならびに抑制メカニズムを詳細に明らかにすることを目的とする。2019年度は、in vitro誘導したTr1細胞をアレルギー性喘息マウスモデルに養子移入することで、アレルギー性気道炎症に対する抑制効果を検証した。 卵白アルブミン(ovalbumin: OVA)感作BALB/cマウスにOVA溶液を4回気管内投与することで反応惹起を行うアレルギー性気道炎症マウスモデルにin vitro誘導したTr1細胞を2.5×10^5 cells/animalの用量で1回静脈内投与した。Tr1細胞を移入したアレルギー性気道炎症マウスモデルでは、肺における好酸球遊走因子IL-5の産生、肺への好酸球および好中球浸潤、ならびに気道過敏性の有意な抑制が認められた。 さらに、我々は、これまでに、アレルゲン免疫療法により増加する抗原特異的IgG1が、Tr1細胞の誘導に関与することを示唆するデータを得ている。2020年度は、抗原特異的IgG1によるTr1細胞の誘導機序を詳細に明らかにする。抗原特異的IgG1によるTr1細胞の誘導機序ならびに抗アレルギー作用を明らかにすれば、アレルギー疾患を早期根治に導く新規アレルゲン免疫療法の開発理論を提供することが出来る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tr1細胞の抗アレルギー作用を明らかにできたこと、ならびにアレルゲン免疫療法により増加する抗原特異的IgG1がTr1細胞の誘導に関与することを示唆するデータを得れたことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、抗原-IgG1複合体が樹状細胞ならびにB細胞に結合することで、それぞれ制御性樹状細胞 (DCreg) ならびに制御性B細胞 (Breg) に分化し、Tr1細胞を誘導してアレルギー性喘息を抑制すると仮説を立て、この真否について検証を行う。下記3点を検討することで、抗原特異的IgG1によるTr1の誘導機序を明らかにする。 (1.抗原特異的IgG1 のTr1 誘導能および抗喘息効果)アレルギー性気道炎症マウスモデルにOVA 特異的IgG1 を連日各反応惹起2時間前に静脈内投与する。メサコリン誘発性の気道過敏性試験を行い、呼吸機能を評価することで、アレルギー性気道炎症が抑制されることを明らかにする。さらに、肺、縦隔リンパ節、および脾臓を摘出し、制御性樹状細胞(DCreg)、制御性B細胞(Breg)ならびにTr1が誘導されているかをflow cytometryにより明らかにする。(2. 抗原特異的IgG1 によるTr1 の誘導機構)アレルギー性気道炎症マウスの脾臓細胞より、磁気分離および蛍光分離により、樹状細胞ならびにB細胞を単離する。単離した細胞をOVAおよびOVA特異的IgG1存在下で7日間培養する。培養後、それぞれDCregならびにBregに分化しているか否かをflow cytometryにより明らかにする。(3. Tr1 の誘導に関与するFcγR のサブクラス)OVA-IgG1複合体が、どのサブタイプの受容体に結合しIL-10産生細胞を誘導するかを明らかにする。1. の投与計画のOVA特異的IgG1の各投与2時間前に抗FcγRI抗体 、抗FcγRII/III抗体ならびに抗FcγRIV抗体を静脈内投与し前処置する。1. と同様に各組織中のDCreg 、BregならびにTr1を検出し、その誘導に関与するFcγRのサブクラスを明らかにする。
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Causes of Carryover |
2020年3月に参加予定の学会が中止となったため、残額が生じた。2019年度の残額は、2020年度の消耗品費として使用する。
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Research Products
(3 results)