2019 Fiscal Year Research-status Report
酸性雲霧林及びアルカリ性湖由来微生物からの新規シデロフォアの探索と生合成の解明
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19K16392
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
WONG CHINPIOW 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (10816226)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シデロフォア / 生物活性化合物 / 生合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
特殊な環境下にあるマレーシアの酸性雲霧林ブリンチャン及びモンゴルのアルカリ性を示すキャラガス湖とシャズガイ湖に生育する微生物には,温和な環境下で生育する微生物とは一線を画す多種多様な未知の天然生物活性物質が未だ眠っていることが大いに期待される。今年度は,マレーシア・ブリンチャンにある酸性雲霧林の7カ所及びマレーシア・ペナン州にあるケラカットビーチ湖から採集した土壌を,YMG培地にて25℃で14日間培養し,純化することで,57種類の放線菌及び好酸性グラム陰性桿菌を単離することができた。これらのうち,4種類は放線菌Streptomyces koyangensis,S. lavendulae,S. atratus及びS. miharaensiであり,1種類はプロテオバクテリアBurkholderia rinojensisであった。また,これらのメタノール抽出液について,(1)ヒト由来各種がん細胞(子宮頸がん細胞HeLa,肺胞基底上皮腺がん細胞A549,乳がん細胞MCF-7)に対する細胞毒性試験と(2)グラム陽性菌(Bacillus subtilisとStreptomyces aureus)とグラム陰性菌(Escherichia coliとKlebsiella pneumoniae)に対する抗菌活性試験を実施した結果,グラム陰性菌に対する抗菌活性は,いずれのメタノール抽出液においても確認することはできなかったものの,全ての抽出液が評価したヒト由来がん細胞の全てに対して細胞毒性を示すこと,及びグラム陽性菌に対して抗菌活性を示すことを明らかにした。さらに,S. miharaensi由来メタノール抽出液から生物活性成分の単離を試みた結果,強力な細胞毒性を示すことが報告されている2種の既知環状ペプチド,エキノマイシンとFD-991を,2種の新規類縁体と予想される化合物とともに得ることができた。現在,2種の類縁体の化学構造について詳細な解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに,マレーシア・ブリンチャンにある酸性雲霧林の土壌から得た放線菌から生物活性化合物を得ることができた。また,化学構造については不明ではあるものの,これまでの各種スペクトル分析から新規化合物と推定される2種の化合物を得るに至っている。このことから,総合的に概ね計画通りに進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得た構造未知化合物の化学構造を確定するとともに,これらについての生物活性測定を実施する。また,これまでに得た他の菌体からも化合物の単離を進め,新規生物活性化合物の取得を目指す。一方,モンゴル産土壌から新たに菌体を得,これらから化合物の単離を進めることで,新規生物活性化合物の取得を図る。
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