2020 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイントに作用する伝統医薬品・天然由来化合物の探索と有効性解析
Project/Area Number |
19K16393
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小谷 仁司 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (10594640)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 免疫チェックポイント / 癌 / 天然物 / スクリーニング / PD-1 / PD-L1 / T細胞 / 生薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年話題となっている免疫チェックポイントに作用する天然由来化合物・伝統医薬品の探索とその有効性解析をおこなうことを目的とした研究である。現在、これらに対する抗体医薬品が臨床応用され、その有効性も評価されているが、薬価が高いことから我が国における保険医療経済の破綻にも繋がるのではないかと社会問題となってきている。そこで、本研究では新たなメカニズムで抗腫瘍効果など臨床における成果が出ている免疫チェックポイント阻害剤というメカニズムに対して同様のメカニズムを持つ天然由来化合物・伝統医薬品を探索するという方法で、より経済負担が少なく安定性も高い新たな免疫チェックポイント阻害剤を開発し、多くの国民が安価に新しい免疫チェックポイント治療を受けることを可能となることを大きな目標として研究を進めることとした。方法としては、免疫チェックポイント分子であるPD-1とPD-L1の組換えタンパクを作製し、in vitroにおけるタンパク質間相互作用を検出できるアッセイ系を構築し、植物エキス・伝統医薬品などの創薬資源をスクリーニングすることとした。組換えタンパクの作成において予定外の時間がかかり、研究計画が送れることとなったが、本年度はスクリーニングを実施した。まずはこれまでの研究においても使用している生薬抽出エキスを使用して、in vitroでのスクリーニングをおこなった。現段階で予定していた研究計画から遅れており、学会等の中止などもあり成果発表ができなかったということも含め、研究期間の延長をおこなったので、研究計画の完了および研究成果の発表をおこなっていきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度の組換えタンパク作成で問題点とした培養上清からの分泌を効率よくさせるための、細胞外ドメインをクローニングし直し、分泌タンパク作成用のプラスミドを作成した。また、昨年度はFcタグを融合させることでFcタグを認識する2次抗体などの利用を予定していたが、2次抗体の交差によるPD-1(ラットFcタグ)およびPD-L1(マウスFcタグ)の両方のFcタグおよびポジティブコントロールに使用する抗PD-1抗体を認識してしまうなどのトラブルが発生したため、本年度は新たにFLAGタグやStrepタグなどを融合させた細胞外ドメインや蛍光タンパク(GFPまたはmCherry)を融合させた細胞外ドメインを作成した。新型コロナウイルスの流行などにより、研究実施の自粛要請やオンライン講義などへの対応のため十分な実験時間が取れなくなるといったことも起きたことから、研究計画はやや遅れることとなった。さらに、学会なども中止やオンライン開催などとなったり、大学からの感染注意地域への出張自粛要請などから学会での成果発表や情報収集が困難な状況となってしまっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験計画とは多少のずれが生じることとなるが、研究計画を完了させるため、伝統医薬品・植物エキスのスクリーニングをさらにすすめ、顕著な免疫チェックポイント阻害仮性を持つエキスを見出し、その構成成分を評価するとともに、実際にマウスから採取したT細胞の活性化におよぼす影響を評価していきたいと考えている。また現在も今後の状況がどのようになるか不明であるが、可能であれば開催される関連学会において研究成果の発表をおこないたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により研究実施時間の自粛やオンライン講義への対応などにより研究時間が大幅に減少したため、研究期間の延長を申請した。また、学会等に関しても中止やオンライン開催になったため、研究成果の成果発表が十分にできなかった。延長した次年度に関しては、社会情勢にもよるが学会における成果発表をおこなうための旅費としての使用や、当初の研究計画を実施するための物品費・消耗品代などに使用する計画となっている。
|
Research Products
(4 results)