2020 Fiscal Year Research-status Report
放線菌由来ポリケタイドの多様性創出に関わる立体選択的エノイル還元機構の解明
Project/Area Number |
19K16401
|
Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
石川 和樹 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (30779822)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | エノイル還元 / Streptomyces / ベンゾイソクロマンキノン / 放線菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、本年度では、エノイル還元酵素群を用いた非天然型BIQ系ポリケタイドの創製を目指し、本酵素群による立体選択的なエノイル還元機構を解明するを目的として、主に下記のStep3について検討を行った。 【Step3:エノイル還元酵素群の機能解析】昨年度の研究結果からエノイル還元酵素群であるMed29, Gra28,Gra30のエノイル活性の評価を行った。反応基質として推測される(S)または(R)-DNPAに対して緩衝液中で活性評価を行ったが、いずれの酵素もActVI-2のようなエノイル還元活性は認められなかった。そこで、これらの本来の活性を探索した結果、Gra28において異なる基質に対する酸化活性が認めれた。これらの活性については今後検討していく予定である。また、昨年度の検討において組換え酵素として取得できなかったMed9において、酵素取得を目的としたさらなる検討を行った。その結果、Rhodococcus 属菌株を用いた異宿主発現系を利用することで少量ではあるが取得することに成功した。しかし、取得量が不十分であるため酵素取得のための条件検討を行う必要がある。また、本年度は世の情勢により研究室での実験が制限されたため、来年度行う予定であった分子モデリングソフトを用いたActVI-2の立体構造の解析を行い、エノイル還元反応に関与する可能性のある候補アミノ酸の探索を行った。その結果、一部のTrpが酵素内における基質の位置の固定に関与することを明らかにした。これらの結果については薬学会第141年会で発表を行った。しかし、未検討の候補アミノ酸が多くあるため、今後はこれらのアミノ酸について反応への寄与を検討したと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、Granaticin(GRA)生合成経路におけるエノイル還元酵素と推測していた酵素Gra28/30がエノイル還元酵素でない可能性が出てきた。そのため、ActVI-2との比較のために新たにエノイル還元酵素遺伝子と推測される遺伝子の探索を行う必要がある。しかし、GRA生合成遺伝子クラスター内にはGra28/30にActVI-2と一定の相同性を示す遺伝子が存在しない。そのため、GRA生合成由来エノイル還元酵素は他の酵素とは大きく異なる可能性があり、遺伝子同定のために時間が掛かると考えている。また、Medamycin生合成に関与するエノイル還元酵素であるMed9の可溶化にも時間が掛かっており、当初の機能解析まで行うことができていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、Med9の安定的な取得を目的とした培養・精製条件の検討を行い、Med9のエノイル還元活性の評価を行い、分子モデリングソフトを用いたActVI-2との立体構造の比較を行う。また、GRA生合成に関与するエノイル還元酵素はActVI-2およびMed9とは異なる立体化学を有する生成物を生成する可能性があるため、エノイル還元酵素の包括的な解析には重要である。そのため、ActVI-2/Med9とは相同性を示さなくても還元活性を有する可能性がある酵素の発現・活性評価を行う予定である。また、分子モデリングソフトを用いたActVI-2の立体解析結果からエノイル還元反応に関与する候補アミノ酸を選抜した。そこで、これらのアミノ酸変異型酵素を作製し、エノイル還元反応への関与を検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナにより実験室での実作業が大幅に減ったことから、次年度行う予定であった分子モデリングソフトを用いた解析を先に積極的に行った。そのため、来年度は、各種酵素の発現条件の検討を目的とした実験ため、人工遺伝子の合成や酵素精製のために物品費を多く使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)