2021 Fiscal Year Research-status Report
放線菌由来ポリケタイドの多様性創出に関わる立体選択的エノイル還元機構の解明
Project/Area Number |
19K16401
|
Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
石川 和樹 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (30779822)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | エノイル還元 / Streptomyces / ベンゾイソクロマンキノン / 放線菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、エノイル還元酵素の詳細な反応機構の解明を目的に、昨年度作製したActVI-2のアミノ酸改変体の活性評価および基質の誘導化によるエノイル還元活性への影響を検討した。また、昨年度に引き続き、エノイル還元酵素候補の発現システムの構築を検討した。 昨年度、分子モデリングソフトを用いてActVI-2の立体構造の解析および反応基質(S)-DNPAに対するエノイル還元反応に関与する可能性のある候補アミノ酸を探索した。本年度では、昨年度に未着手となってしまった候補アミノ酸をアラニンに置換したアミノ酸改変体を作製し、さらなる活性評価を行った。その結果、一部のアミノ酸の置換によってActVI-2によるエノイル還元活性が著しく低下した。さらに、これらのアミノ酸改変体を用いた実験から得られた結果を基に、反応基質(S)-DNPAの誘導体化を作製した。この誘導体を用いてActVI-2もよる酵素反応を行った結果、反応液のHPLC分析において、基質の誘導体化によってエノイル還元反応の立体選択性が低下した可能性を示す2つの未知化合物のピークが検出された。この結果をより詳細に解析することは、エノイル還元酵素の反応機構において最も注目すべき立体選択性に関わる知見を得ることが可能と期待している。また、昨年度から続き、ActVI-2以外のエノイル還元酵素候補である各種酵素の取得を目的として発現システムを構築するため発現宿主およびコドンの最適化などを検討した。しかし、目的の酵素の可溶化は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ActVI-2以外のエノイル還元酵素も同様に解析し、ActVI-2の反応機構との比較を行う予定であったが、現在までにActVI-2以外のエノイル還元酵素候補の発現システムを構築することができていない。そのため、エノイル還元活性の有無を評価するすることができいない。しかし、基質の誘導体化によって得られた結果から、ActVI-2のエノイル還元機構の最も重要な立体選択性に関わる反応機構の一部を明らかにできる可能性がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初、多くの異なるエノイル還元酵素の比較・解析によってエノイル還元酵素による反応機構の詳細を明らかにすることが計画していた。しかし、ActVI-2以外のエノイル還元酵素候補を取得することが出来ていない。しかし、本年度の研究結果からエノイル還元酵素によるエノイル還元反応において最も注目すべき立体選択機構を明らかにすることが出来る可能性が出てきた。そこで、来年度は、誘導体化基質を用いた酵素反応液の分析においてHPLCクロマトグラム上に検出された未知化合物の構造解析を行う予定である。また、これまでに得られた知見を論文化することを予定している。
|
Causes of Carryover |
エノイル還元酵素候補の発現システムを構築することが出来ず、計画していた酵素反応を実施することが出来なかったため、ActVI-2の誘導体を用いた実験に変更した。その結果、予想外の結果を得られたため、来年度にこの結果についてより詳細な検討を行う予定である。
|