2019 Fiscal Year Research-status Report
イブプロフェン含嗽剤の作用時間の持続と使用時の刺激感の減少を目指した製剤化研 究
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19K16413
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
五百藏 武士 神戸大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (40789343)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イブプロフェン / 含嗽剤 / プラセボ |
Outline of Annual Research Achievements |
イブプロフェン含嗽剤のこれまでの知見から、実用化するにあたっては作用時間の持続と使用時の刺激感を減少させる製剤を作成する必要があるため、イブプロフェン含嗽剤の製造方法を一部見直して検討した。 作用時間の持続化として、患部に薬剤がより留まる製剤とするために、高分子ゲル化剤を添加する方法を検討したが、製剤の滅菌工程に支障があることが判明し、このアプローチは断念する結果となった。また、リドカインなどの局所麻酔薬を添加することも検討したが、局所麻酔薬の苦味と口腔内の感覚鈍麻による不快感があること、プラセボ対照比較試験として立案する際の評価項目を変更する可能性があるなど、実現可能性の観点からもこれ以上の検討は困難として断念する結果となった。 使用時の刺激感の減少を図るために、防腐剤なしで微生物増殖や汚染の懸念がない製剤化を検討した。防腐剤を使用せずに無菌製剤した含嗽剤を微生物限度試験にて検査したところ、総好気性微生物数および総真菌数はいずれも0 cfu/gであることが確認できた。当初の計画では、注射剤の様な無菌製剤の製造環境に準拠した、経口液剤又は含嗽剤の様な口腔内投与液剤の製造施設を有する製造受託会社に、製造委託することとしていたが、定期的な微生物限度試験を依頼することで、含嗽剤の品質が確保できると判断した。 イブプロフェン自体の刺激感を緩和するために、各種の香料を添加する検討を行っている。プラセボとしての含嗽剤を製造するために、イブプロフェンの有無が判別されないような香料の選定と製造方法を決定することで、探索的なランダム化比較試験を計画・実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の到達目標は、2020年度に立案するイブプロフェン含嗽剤の探索的ランダム化比較試験に用いる含嗽剤の処方内容の固定である。研究実績の概要でも一部記載したように、現時点では香料の成分を工夫することでプラセボ製剤の作成段階にある。香料は2つまで選定され、製造方法も概ね固定化されつつある。イブプロフェンを含まないプラセボの含嗽剤の処方内容が決定されれば、ランダム化比較試験の計画が進展することとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たなイブプロフェン含嗽剤とプラセボ含嗽剤の製剤化が完了すれば、イブプロフェン含嗽剤の有効性と安全性を評価するための探索的プラセボ対照試験を計画する。計画する探索的プラセボ対照試験は、臨床研究法にもとづく臨床研究として実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、年度末に計画していた一部の確認作業が完了できていない。実施の環境が整い、研究が再開できれば、試験薬/プラセボの製造と品質確認を行う。また、イブプロフェン含嗽剤を評価するために臨床試験の計画を進める。
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