2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子多型と臨床検査を融合させた新規指標に基づく抗PD1抗体薬の効果予測法の開発
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19K16414
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡田 直人 徳島大学, 病院, 薬剤師 (30623269)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害薬 / 治療効果予測 / 間質性肺炎 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前向き臨床研究の準備を進めつつ、免疫チェックポイント阻害薬の致死的有害事象である重症筋無力症に焦点を当て、大規模データベースを用いた解析を実施した。 免疫チェックポイント阻害薬による重症筋無力症は致死的であり、副作用発現者の特徴などはこれまで明らかになっていない。免疫チェックポイント阻害薬による重症筋無力症発現患者の特徴が明らかになることで、免疫チェックポイント阻害薬治療の安全性向上に寄与できると考えられる。 解析に用いたFDAにより提供されているFDA副作用自発報告データベース(FAERS)を用いた。有害事象の定義はMedDRAによって定義された有害事象用語を用いた。有害事象報告のシグナル検出としてreporting odds ratio(ROR)を用い、95%信頼区間が1以上の場合、シグナルありと定義した。 解析の結果、免疫チェックポイント阻害薬により重症筋無力症の有害事象報告は、他の薬剤と比較して有意に多いことが明らかになった。また、年齢・性別に関する多変量解析により、高齢者において免疫チェックポイント阻害薬関連重症筋無力症の報告頻度が高い可能性が示唆された。加えて、免疫チェックポイント阻害薬関連重症筋無力症とともに報告されている症状/病態の報告数を検討したところ、眼瞼下垂や呼吸筋障害、筋炎など様々な症状/病態が含まれていることが明らかになった。 本解析により、年齢という因子が免疫チェックポイント阻害薬関連重症筋無力症に関連していることが示され、本因子を用いた免疫チェックポイント阻害薬関連重症筋無力症の発現予測アルゴリズムの構築が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在は前向き臨床研究の準備を進めている。そこで、これまでの解析により致死的有害事象であり予測因子が同定されていなかった、免疫チェックポイント阻害薬関連重症筋無力症のリスク因子の解析に着手した。今回実施した解析により、免疫チェックポイント阻害薬関連重症筋無力症の有害事象報告頻度と年齢が関連していることが示された。加えて、免疫チェックポイント阻害薬関連重症筋無力症の有害事象を報告した症例は呼吸器症候群や筋症状を含む多様な症状/病態を随伴することが明らかすることができた。 本解析により明らかになった因子を用いることで、免疫チェックポイント阻害薬関連重症筋無力症の発現を予測するアルゴリズムの構築が可能になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は前向き臨床研究の準備を進めているが、コロナ禍で研究の開始が遅れている。そのため、前向き試験が開始できるまでは、医療データを用いた多面的な評価により、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果予測アルゴリズムの構築を目指す。さらに安全性も同時に評価することで、免疫チェックポイント阻害薬による安全性予測アルゴリズムの構築も目指す。これらアルゴリズムの構築により、包括的な免疫チェックポイント阻害薬治療のアルゴリズム構築が可能になると考えられる。
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Causes of Carryover |
【理由】3月に納品となり、支払いが完了していないため。 【計画】4月に支払いが完了する予定である
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