2019 Fiscal Year Research-status Report
親化合物の化学構造に影響されない水溶性プロドラッグ修飾基の開発
Project/Area Number |
19K16421
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
高橋 正人 千葉科学大学, 薬学部, 助教 (40738770)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロドラッグ / 水溶性 / 加水分解酵素 / 生体機能利用 / 薬学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、親化合物に水溶性の高い修飾基を導入した水溶性プロドラッグが盛んに研究されており、化合物の水溶性向上に成功した例が多く報告されている。しかしながら、これらの研究により開発された修飾基を他の化合物に導入しても、水溶性は改善されるが、親化合物の構造に影響を受けるために代謝活性化能に失敗してしまうケースが存在する。本研究の目的は、中性域を含む広範囲の pH の水溶液に溶解し、親化合物の構造に影響されずに代謝活性化される「水溶性プロドラッグ修飾基」を開発することである。2019年度は、エステル型プロドラッグの肝臓中における代謝活性化に最も重要な役割を果たしているカルボキシルエステラーゼの基質認識能を考慮し、基質の構造に依存せずに代謝活性化されるように自壊性のリンカーを導入したダブルエステル構造を有するプロドラッグ修飾基の設計および合成を行った。モデル化合物としてフェニトインを用い、設計したプロドラッグ修飾基を導入した後、代謝活性化能および水溶性の評価を行った。検討の結果、3,3-ジメチルグルタル酸型のプロドラッグが非酵素存在下での安定性が高く、カルボキシルエステラーゼによる代謝活性化能が高いことがわかった。プロドラッグの水溶性を調査したところ、pH 7.4では溶解性が低く、8.3~10.1において高い水溶性を示した。 今後は、より中性に近い pHの溶液中での水溶性向上を目指し、プロドラッグ修飾基の再設計および合成と評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの関する報告を参考に、プロドラッグの合成を試みたが、極性が高く精製が困難な化合物が多かった。そのため、副生成物の少ない反応条件を再検討することになり、検討に多くの時間を要した。そのため、当初予定していたよりもプロドラッグの水溶性を高める検討を行うことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、プロドラッグ修飾基の再設計を行っており、いくつかのモデル基質を用いて修飾基の導入、代謝活性化能および水溶性の評価を行う予定である。
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