2019 Fiscal Year Research-status Report
Prediction of Infuenza Epidemics and Assessment of Treatment using Mathematics Models
Project/Area Number |
19K16428
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
地嵜 悠吾 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (30781356)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | インフルエンザ / 流行予測 / 数理モデル / SIRモデル / NONMEM / 気象情報 / 平均気温 / 京都府 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画では1年目の目標として「インフルエンザの流行に関する疫学データの収集」、及び「流行過程のモデル化及び予測性の評価」を目的とした。計画に基づき、国立感染症研究所の感染症発生動向調査を用いて、2007年から2017年の京都府におけるインフルエンザの報告数データの収集を行った。また、国土交通省気象庁から気象データを収集しこれらの関係性を調査した。これらのデータを用いて各種気象データとインフルエンザの流行との関係性の評価を行った。解析ではポアッソン分布に基づく回帰分析を行い関係性を評価した。その結果、京都府におけるインフルエンザ定点当たり報告数は平均気温と負の相関を示すことが示唆された。この結果は日本薬学会第140年会にて発表を行った (ただし会は中止となり発表は承認された)。この結果は、今後のインフルエンザの流行予測モデルの構築に役立つと考えられる。 また、感染症の流行過程を説明できる代表的なモデルであるSIRモデルを用い、インフルエンザの感染者数を説明できるモデルを作成した。累積感染者数を予測指標とすることでSIRモデルを基本として年間変動などの変動誤差も求める混合効果モデルを構築し、解析プロブラムNONMEM (nonlinear mixed effect model) を用いて解析を試みた。手順としてはまず始めに、年間変動を考慮せず、年内変動のみを用いた1シーズンにおけるSIRモデルを作成した。複数のシーズンにおいて年内変動のみを考慮した場合には十分に予測可能なモデルの作成に成功したが、年間変動を組み入れた複数のシーズンにまたがるモデル解析は結果が収束せず、通常のSIRモデルを改良するか、あるいは以外の新たなモデルの構築が必要な可能性が示唆された。今後、SIRモデルから発展させたモデルも含めて今後検討したいと考えている。また、さまざまな気象情報を考慮に入れたモデルの検討も併せて行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NONMEMを用いたSIRモデルの結果が予想どおりのものとならず、うまく収束しなかったため見直す必要がある。今後はいくつか異なるモデルによる解析も視野に入れ、SIRモデルを発展させたものなどのモデルによる解析を行う。また、モデルの予測性評価に関しては実際の臨床情報の収集が難しいことも考慮して、現状のデータを用いて、Visual Predictive Check (VPC) といった視覚的に確認する方法や、Leave-One-Out(LOO)法といったデータ分割によるバリデーション手法を用いて予測性の評価を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、2年目の予定はインフルエンザの不作用及び効果、費用データの収集及び、これらの評価を行う予定であった。これらの情報収集を実施しつつ、現状ではSIRモデルを用いた流行予測解析手法が確立していないので、手法の確立を早期に実施し、その後インフルエンザの副作用及び効果、費用データに関する解析や評価を行う。
|
Causes of Carryover |
購入予定だった解析ソフトウェアを他の研究でも用いることになったため、他の研究費で購入したことと、参加予定だった学会の参加が中止(新型コロナウィルス感染拡大防止のため)となったため、次年度使用額が生じた。 今後の使用計画としては、解析ソフトウェアの購入及び学会参加のために用いる。
|
Research Products
(1 results)