2019 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞から生還するためのタイムリミット拡大を目的とした血栓溶解薬の応用法
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19K16432
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中野 貴文 福岡大学, 薬学部, 助教 (40804539)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | t-PA / 脳梗塞 / マイクロバブル / トロンビン |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞には、血栓溶解薬の組織プラスミノーゲンアクチベータ (tissue plasminogen activator; t-PA) が劇的な治療効果を示す。しかし、脳梗塞発症からわずか4.5時間が過ぎると、脳血管が脆くなるため、出血リスクの観点からt-PAを使用することができなくなる。このt-PAの治療制限時間の短さが、脳梗塞患者増加の大きな要因となっている。 我々は、この時間制限を克服するために薬物伝達システムに着目し、t-PAを微小なバブルに封じ込み、血栓部位でのみt-PAの効果を発揮させる方法で出血リスクを減らせると考えた。本研究は、「マイクロバブル化したt-PAが脳出血誘発リスクを低下させ、更にはt-PA治療の制限時間を延長することができるのか」を、脳梗塞モデルマウスを用いて明らかにし、t-PA治療を発展化させるための基盤を確立することを目的としている。 1年目に得られた成果は主に2点である。1点目は、脳梗塞モデルマウスに対し、t-PAをさまざまな時間、濃度で投与し、脳梗塞モデルマウスにおけるt-PAの治療制限時間を明らかにした。これに対して、マイクロバブル化したt-PAが治療制限時間を延長することができるのかなど今後検討を行う予定である。2点目は、t-PAは脳内に形成された血栓、つまりトロンビンなどの凝固因子に対して影響を与える薬剤である。我々はトロンビンが脳梗塞時の脳内でどのような役割をしているのかを明らかにした。この結果により、t-PAの治療効果に関してより詳細なメカニズムなどを今後解明していくことができると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳梗塞モデルマウスのt-PA治療制限時間が解明したため、マイクロバブル破裂の条件設定をする予定であったが、まだ実施に至っていないためやや遅れをとっている。 しかし、t-PAの治療制限時間を明らかにしている間に、脳梗塞時に形成される脳内血栓(トロンビン)の役割について解明することができた。これは最終年度に予定していたt-PAの治療メカニズム解明を更に進展させることが期待できる結果であったため、大きな遅れにはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞モデルマウスに薬剤未封入のマイクロバブル注射液を投与し、エコーを用いて超音波エネルギーを脳梗塞部位に与える。マイクロバブル破裂による血栓の縮小や脳出血誘発がないかを梗塞巣体積、脳出血量を評価し、適正なマイクロバブルの直径サイズや密度を決定する。その後、マイクロバブル化したt-PAを作成し、脳梗塞モデルマウスに対する効果を検討する。
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Research Products
(1 results)