2021 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞から生還するためのタイムリミット拡大を目的とした血栓溶解薬の応用法
Project/Area Number |
19K16432
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中野 貴文 福岡大学, 薬学部, 助教 (40804539)
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Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2022-03-31
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Keywords | 組織プラスミノーゲンアクチベータ / マイクロバブル / 脳梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞に対して、血栓溶解薬の組織プラスミノーゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator; tPA)は唯一国際的に有効性を認められた治療薬である。しかし、病態が進行すると脳血管が脆くなるため、tPAによる血栓溶解作用は脳出血誘発リスクを上昇させる。そのため、tPAは脳梗塞発症から4.5時間以内の患者のみが適応であり、脳梗塞患者の多くがtPA治療を受けることができない現状である。従って、tPAの治療制限時間の短さを克服することは、脳梗塞後遺症患者の増加に歯止めをかける可能性がある。 我々は、tPAの治療制限時間を延長するために、マイクロバブルによる薬物伝達システムに着目した。tPAを微小なバブルに封じ込み、血栓部位でのみtPAの効果を発揮させる方法を用いることで、tPAの投与濃度を最小限にし、出血リスクを減らせると考えた。本研究では、「マイクロバブル化したtPAが脳出血誘発リスクを低下させ、更にはtPAの制限時間を延長することができるのか」を、脳梗塞モデルマウスを用いて明らかにし、tPA治療を発展させるための基盤を確立することを目的としている。 tPAとマクロバブル化したt-PA (micro-tPA)の治療効果の違いについて、2時間中大脳動脈(middle cerebral artery; MCA)閉塞モデルを用いて検討した。薬物は、再灌流後に尾静脈投与し、MCA閉塞24時間後に梗塞巣体積及び脳出血の有無を評価した。その結果、micro-tPAはtPAに比べて有効投与濃度を低用量化でことが明らかとなった。今後、tPAが脳出血を起こすことをすでに明らかにしている4時間MCA閉塞モデルマウスを用いて、tPAとmicro-tPAの治療制限時間の違いについて検討する。
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