2019 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームが駆動する慢性閉塞性肺疾患の血液脳関門病変化と薬剤中枢性副作用
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19K16433
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松本 純一 福岡大学, 薬学部, 助教 (10550064)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | COPD / BBB / extracellular vesicle |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)患者の20~50%は、情動障害・認知機能障害などの中枢性合併症を併発する。この中枢性合併症は、COPD患者の予後不良とQOL(Quality of Life)低下の重大な危険因子となるが、その対策は不十分である。申請者は、COPDモデルマウスで血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)が障害されることや認知機能障害を誘発する抗コリン薬の脳内移行が増加することを突き止めた。有害事象報告システムを活用した解析では、吸入抗コリン薬がCOPD患者の認知症リスクを増大させるとの解析結果も得た。本研究では、肺から産生されるextracellular vesicle (EV)に着眼しCOPD病態進行に連動したBBB障害機構の解明を企てた。 Porcine pancreas elastase (PPE)を気管支内に噴霧してCOPDモデル動物を作製した。PPE投与24時間後の体重変動とPPE投与3週間後における平均肺胞径の間に強い負の相関が認められた。そこで、PPE投与24時間後に顕著な体重低下した個体をCOPDモデル動物とし、PPE投与3週間後のモデル動物より脳を採取し、mRNAを抽出した。抽出した脳のmRNAを用いて薬物輸送に関連する遺伝子群の発現量を対照群と比較したところ、有機アニオントランスポーターであるSLC22a8およびSLCO2a1の発現が上昇していた。一方で薬物排出に係るABCトランスポーターについては両群において有意な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COPDモデル動物作成の可否についてモデル動物作成後の体重変動を用いて評価することに成功し、より正確にCOPDモデル動物のみを選定することを可能にした。すでに作成したモデル動物の脳から抽出したmRNAを用いてトランスポーターの発現変動についての解析を開始し、本実験計画は順調に進展していると言える
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験においては、本年度の実施したトランスポーターの遺伝子発現量の解析を継続し、実験例数を追加するとともに、本実験動物を用いて、RI標識の医薬品の脳内移行量の測定を行う。さらには、モデル動物より採取した血清よりEVを単離して、in vitro BBBモデルに処理しEVのBBB機能に対する影響について明らかとする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:当初購入を予定していた実験試薬の購入費用が少なく済んだため。
使用計画:次年度に実施を予定しているEVのmiRNAマイクロアレイ解析費用として計上する。
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