2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on anticancer drugs-induced epithelial-mesenchymal transition for development of preventive approach to drug-induced lung injury
Project/Area Number |
19K16447
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川見 昌史 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (20725775)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / 薬剤性肺障害 / 抗がん剤 / 肺胞上皮 / メトトレキサート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、抗がん剤であるメトトレキサート(MTX)によるEMT誘発機構の解明を目的として、特にEMTに特異的な関与する分子の特定を目指している。 最終年度となる2021年度では、これまでMTX誘発性EMTにITGA2やp53の関与が認められたことを基盤として、更なる研究の展開を行った。ITGA2に関しては、MTXと同様にEMT誘発能を有するパクリタキセルやチミジンによるEMT誘発に及ぼすITGA2の影響についても検討を行った。その結果、ITGA2阻害剤はこれら薬物によるEMTの誘発を抑制したことから、ITGA2は複数のEMT誘発性薬物の防御標的として有用である可能性が明らかになった。一方、EMT誘発薬物であるMTXおよびBLM処置サンプルのtotalRNAを用いてRNA-seqを行い、両薬物に共通して変動する因子を抽出することで、EMTに特異的な因子の探索を試みた。網羅的な遺伝子発現解析結果からpathway解析を行ったところ、両薬物によって減少した遺伝子群では薬理効果である細胞周期の停止、一方増加した遺伝子群ではp53経路の関与が示唆された。そこで、p53のsiRNAを用いてp53をノックダウンしたところ、MTXによるEMTの誘発は抑制された一方、抗がん効果であるアポトーシスの誘発に影響は認められなかった。従って、p53はEMT誘発性抗がん剤におけるEMTに特異的に関与する可能性が考えられた。 以上、最終年度の検討によって、抗がん剤誘発性EMTに特異的に関与する因子の候補であるITGA2とp53の妥当性を検証し、両因子の関与を強く示唆するエビデンスを取得できた。 本助成期間全体の成果として、MTXによるEMTの誘発と抗がん効果がそれぞれ独立している可能性を見出したこと、および既述のITGA2やp53に加えて、Nrf2などのEMTに特異的な因子を複数見出すことができた。
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Research Products
(10 results)