2020 Fiscal Year Research-status Report
COPD患者におけるプレシジョンメディスンを指向した治療有効性予測マーカーの開発
Project/Area Number |
19K16450
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
平井 啓太 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30740203)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 喘息 / ステロイド抵抗性 / マイクロRNA / 遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)による死亡者数は年々増加しており、病状の進行を抑制する新たな治療戦略の開発が求められている。COPD患者の中には同じ慢性呼吸器疾患である喘息と類似した病態を示す者が一定程度存在することが報告されており、これらの患者では喘息治療で用いられている薬物が奏功することが、近年報告されている。そこで本研究では、COPD患者において喘息と類似する病態を有する患者を特定し、喘息治療薬に対する有効性の有無を判別するバイオマーカーを開発することを目的とした。 上記の研究目的を達成するため、臨床研究①(第1コホート)として、喘息患者を対象に治療有効性を予測に有用なマーカーを探索し、臨床研究②(第2コホート)として、COPD患者を対象に臨床研究①で同定されたマーカーを測定し、喘息患者と類似した発現パターンを示すCOPD患者を特定し、その際に有用なバイオマーカーを明らかにする。本年度は、第1コホートの検体採取を完了し、各測定項目を実施し、以下の知見を得た。 抗インターロイキン5受容体抗体であるベンラリズマブが投与された重症喘息患者を対象とした。ベンラリズマブの投与に合わせ、開始前 (0週)、8、16、24週に採血を行い、Tリンパ球より遺伝子発現量を、血清よりマイクロRNAを定量した。ステロイド抵抗性に関わる分子を主にPI3K経路およびMAPK経路より選択し、ベンラリズマブ投与後の変動を解析した。その結果、主にPI3K経路に関わる分子が変動しており、効果との関連も認められた。さらに、ステロイド抵抗性および重症喘息の炎症病態に関与することが推察されるマイクロRNAを血清より定量したところ、複数のマイクロRNAがベンラリズマブ投与後に変動しており、開始前の血清中マイクロRNA発現量により投与後24週における効果を予測可能なマイクロRNAも見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1コホートの集積および予定していた解析項目の多くが完了しており、本年度の目標は一定の水準で達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引続き同様な研究体制で研究を継続する。 第1コホートの検体より、マイクロRNAの網羅的解析等を進め、ステロイド抵抗性に関連分子をの制御に関わるマイクロRNAを同定する。さらに、第2コホートの収集を継続し、第1コホートにおいて同定されたマーカーの測定を実施する。
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Research Products
(4 results)