2021 Fiscal Year Annual Research Report
COPD患者におけるプレシジョンメディスンを指向した治療有効性予測マーカーの開発
Project/Area Number |
19K16450
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
平井 啓太 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30740203)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 喘息 / バイオマーカー / 治療有効性 / マイクロRNA / 遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) は世界における死因の第3位に位置し、本邦でも年間約1万6千人が死亡しており減少の兆しはない。COPDと同じ慢性呼吸器疾患である気管支喘息は異なる発症要因を有するが、その病態の類似性が報告されるなど、両疾患の病態は複雑であり異質性に富む。このことから、一部のCOPD患者では、喘息治療で用いられている治療薬が有効であるものと考えられ、病態の特徴に応じて治療法の選択を行うプレシジョンメディスンの実現が期待されている。そこで本課題では、COPD患者において喘息と類似する病態を有する患者を特定し、喘息治療薬に対する有効性の有無を判別するバイオマーカーを構築することを目的とした。 はじめに喘息治療薬である抗インターロイキン5受容体抗体が投与された重症喘息患者を対象とし、投与後の症状の改善により有効群と無効群に分け、治療有効性の予測が可能なバイオマーカーを探索した。患者血液中の免疫細胞や血漿を用いた、遺伝子発現の網羅的解析や遺伝子発現を制御する因子であるマイクロRNAの網羅的解析を実施したところ、治療有効性と関連性が示唆される遺伝子群およびマイクロRNAを複数見出すことができた。そこで、次にCOPD患者を対象に横断的に血液を採取し、喘息患者において治療有効性と関連が示唆されたマーカーを測定した。今後、これら複数のマーカーの解析結果より、抗インターロイキン5受容体抗体の治療有効性が認められた喘息患者と類似した発現パターンを示すCOPD患者を層別化し、その際に最も有用なバイオマーカーを明らかにする。
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