2020 Fiscal Year Research-status Report
光によるスルホキシドの立体化学の制御とその医薬品候補化合創製への応用
Project/Area Number |
19K16454
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
牧野 宏章 東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (40784369)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光 / ラセミ化 / キラルスルホキシド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、スルホキシドの光照射によるラセミ化現象を利用し、リサイクル分取HPLCを用いたキラルスルホキシドの新規供給法の開発を行った。一般に、化学合成されたスルホキシドには、(-)体と(+)体が50%ずつ含まれる(光学純度0%)。例えば、キラルスルホキシド(-)体が必要とされるとき、従来法では、50%の(-)体を分離して使用するため、キラルスルホキシド(+)体は無駄になる。研究代表者は、無駄になる(+)体を光照射によって迅速に(-)体へ変換することを着想し、キラルスルホキシドの供給法を確立した。すなわち、化学合成された(-)体と(+)体が50%ずつ含まれるスルホキシド(光学純度0%)をキラルHPLCによって分離し、(-) 体のみを得る。残る(+)体に光照射すると、迅速に光学純度0%になり、 (-)体と(+)体が50%ずつになる。得られた(-)体と(+)体を再びキラルHPLCによって分離し、(-) 体のみを分取する。この作業をリサイクル分取HPLCシステム中で連続的に繰り返すことにより、(-)体のみをほぼ100%の収率で得ることができた。当然ながら、本法は(+)体だけを分取することも可能であり、所望するキラルスルホキシド(-)体もしくは(+)体を100%の収率で製造することができる。研究代表者はこの画期的な方法について公表するために準備を進めている。現在、本手法を用いて、医薬品の合成やその中間体の供給に応用すべく詳細な検討を進行中である。また、医薬品に対する光照射の影響の研究も進行しており、現在、得られた結果を公表するために準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、当初の目標であったキラルスルホキシドの供給法を開発し、また、特許出願を行った。また、医薬品合成への応用も現在進行しており、研究の進捗状況は順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、適用範囲の拡大と最終目標である医薬品合成への適用を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で大学の閉鎖等で研究計画に遅れがで、使用する予算が予定より少なかったため。
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Research Products
(7 results)