2020 Fiscal Year Research-status Report
薬物トランスポーターTETRANの基質認識・輸送特性の解明
Project/Area Number |
19K16456
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
川嵜 達也 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (70722073)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬物トランスポーター / 輸送 / 精製・再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
Tetracycline transporter-like protein (TETRAN) は細菌,真菌,動物に存在する膜タンパク質で,非ステロイド性抗炎症薬などの薬物排出トランスポーターであると考えられている。しかし,その基質や生理的意義などほとんどわかっていない。本研究の目的は,薬物トランスポーターとしてのTETRANの基質認識・輸送機構を明らかにし,その生理的および薬物動態学的意義を見出すことにある。 2020年度は,3種類のTETRANタンパク質の発現系構築を試みた。膜の可溶化過程には問題がないものの,推定分子量よりも約30 kDa小さいタンパク質断片しか得られず,発現・精製中にタンパク質分解が生じていることが示唆された。 また代替手段として,HEK293細胞発現系を用い,フルオレセイン誘導体を始め電荷および構造の異なる蛍光化合物を用いて輸送(細胞内蓄積)を検討した。複数の化合物で排出方向の輸送が見られるものの,コントロール細胞とTETRAN細胞間の差は最大でも20%程度と小さいものであった。この輸送に対し阻害剤の探索を試みたが,既知の阻害剤はコントロール細胞における基質の細胞内蓄積を有意に増大させた。 排出輸送は,細胞内流入過程の影響を受けるため速度論的解析や阻害剤感受性の検討に不適当と考えた。そこで,駆動力の検討も兼ね細胞内外pHを変化させることで排出を取り込みに変化させられないか試みたが,TETRAN非依存的な細胞内蓄積の変化が大きい。以上のことから,HEK293細胞発現系と蛍光基質の組み合わせを用いてTETRANの機能を検討することは難しいものと判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要欄に記載した通り,精製・再構成実験では,TETRANタンパク質が得られていない。また,HEK293細胞および蛍光基質を用いた検討には限界がある。
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Strategy for Future Research Activity |
TETRAN発現条件(誘導開始時間,IPTG濃度,温度)の最適化を行い,全長目的タンパク質を得,当初計画通り再構成法を用いた輸送活性測定を行う。 並行して,HEK293細胞を用いMima et al. FEBS Letters 581: 1457-1463 (2007) を参考に,細胞毒性を指標に輸送基質候補を探索し,基質であることが示唆された化合物に対して,LC-MSを用いた輸送の直接評価を試みる。
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Causes of Carryover |
試薬等の物品購入を行い,残額(次年度使用額)は1万円未満の1,789円となった。 最終年度は,物品購入と論文投稿に使用する予定である。
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