2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内薬物動態における脂肪酸結合タンパク質の役割解明に向けた分子機構解析
Project/Area Number |
19K16458
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
山本 篤司 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (90633991)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂肪酸結合タンパク質 / FABP / 薬物結合 / 変異体解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪酸結合タンパク質(fatty acid-binding protein, FABP)は多くの組織に発現する細胞質タンパク質であり、脂肪酸以外にも様々な疎水性薬物と結合することが知られている。本研究では、FABPと疎水性薬物との相互作用メカニズムの解明や、FABPが細胞内薬物動態に及ぼす影響について解析を行う。 FABPには10種のアイソフォーム(FABP1~9, 12)が存在し、いずれのアイソフォームもN末端側に2つのalpha helix、C末端側にbeta barrel構造という共通の高次構造を形成している。昨年度の研究では、FABP4と5はアミノ酸配列が類似しているものの結合する薬物が異なることに着目し、alpha helix領域とbeta barrel構造を入れ替えたFABPa4b5およびFABPa5b4を作製し、薬物結合解析を進めてきた。今年度は、FABP4の一部のアミノ酸をFABP5 likeに入れ替えたV23L、T29L、A23G変異体を作製し、薬物結合解析を行った。その結果、1アミノ酸変異による薬物選択性への大きな影響はみられず、複数のアミノ酸の協調的な効果により薬物選択性が生じていると考えられた。 また、FABPが薬物代謝に及ぼす影響を調べるため、降圧薬フェノフィブラートの代謝物測定系の構築を試みた。まず、HPLCによるフェノフィブラート(FF)、フェノフィブリン酸(FA)、還元型FA(RFA)、グルクロン酸抱合型FA(GFA)の分離検出系を構築した。続いて、ヒト肝癌由来細胞HepG2にFFを添加し、24時間後の培地上清について解析を行った。その結果、FFのピークが減少し、FAおよびGFAと考えられるピークの増加が観察された。現在、siRNAによりHepG2細胞におけるFABP1の発現抑制を行い、FFの代謝に及ぼす影響を解析している。
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