2019 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境による抗がん剤耐性メカニズムの変化とその克服法の解明
Project/Area Number |
19K16459
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
峯垣 哲也 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10549306)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗がん剤耐性 / がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん組織中におけるがん細胞は、低酸素や低栄養状態に代表されるがん微小環境の影響を受けることにより細胞内代謝や運動能など数多くの特性変化を生じている。この現象が抗がん剤耐性細胞においても同様に生じることで、耐性の克服をさらに困難にしている可能性が考えられる。本研究は、抗がん剤耐性ヒトがん細胞株における低酸素や低栄養条件下での抗がん剤耐性機構及び細胞特性がどのように変化するのか解析を行い、それら変化に対する有効な薬物等を用いた治療方策を明らかにすることを目的としている。 本年度は、5-フルオロウラシル (5-FU) 耐性ヒト乳がん細胞株を用い、低酸素環境下での抗がん剤感受性の変化について検討を行った。低酸素 (1% 酸素) 環境下での細胞培養、並びに塩化コバルト及びデフェロキサミン処置により低酸素状態を模倣した場合において、低酸素マーカーとして知られる細胞の低酸素誘導因子(HIF)1αタンパク質の発現増大が認められた。また、低酸素環境下において、5-FU耐性乳がん細胞株の5-FU感受性は大きく低下した。次に、5-FU耐性に関与する酵素のmRNA発現量に及ぼす低酸素の影響について検討した。低酸素下では5-FUの代謝に関わるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ、標的酵素であるチミジル酸合成酵素及び5-FUの活性化に関与するウリジン一リン酸合成酵素 mRNAの発現量は変化が認められなかったことから、低酸素下での5-FU感受性低下にこれら酵素の発現量変化は関与しないと考えられる。 以上の結果から、本年度においては、低酸素下で5-FU耐性細胞の抗がん剤耐性がさらに増強すること、及びそのメカニズムとして5-FU耐性に関連した酵素の発現量変化ではないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、低酸素下での抗がん剤耐性度の変動及びそのメカニズムの一部について検討できたことから、概ね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、抗がん剤耐性細胞におけるがん微小環境下での細胞特性変化、特に細胞の遊走能や浸潤能並びに耐性メカニズムの変化について検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに予算を使用することができた。一部、予定より安価に購入できたため僅かな次年度使用額が生じた。 次年度も、本年度同様に計画通りの執行を基本とする。
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Research Products
(1 results)