2020 Fiscal Year Research-status Report
経鼻‐脳実質内薬物送達法による中枢系疾患治療を指向した神経炎症抑制効果の検討
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19K16465
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
井上 大輔 立命館大学, 薬学部, 助教 (50550620)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経鼻投与 / 経鼻投与型製剤 / 製剤開発 / 粉末製剤 / 神経炎症 / 脳内薬物送達 / 中枢系疾患治療薬 / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、経鼻投与後の鼻から脳への直接的薬物移行をより効率的に達成できる経鼻投与型製剤の開発を指向した製剤研究を遂行した。経鼻投与型製剤の開発では、投与量確保と鼻腔内滞留性改善が重要な課題となる。そこで本研究では、経鼻投与型製剤として固形製剤化を試みた。また、鼻腔内滞留性改善を目的としてポリマーを混合した際のポリマー添加の影響を評価した。 モデル薬物として抗炎症薬ketoprofen, flurbiprofen, ibuprofen, loxoprofenを選択し、ポリマーとしてHPMC, PVP, alginate-Naを用いた。各モデル薬物の各種ポリマー添加溶液を真空乾燥することで粉末固形化した。調製製剤について、粉末X線回析、示差走査熱量測定、電子顕微鏡観察により物性解析した結果、真空乾燥により均一フィルム状の固形製剤となり、HPMC及びPVP添加では非晶質製剤、alginate-Na添加では薬物結晶が残存する製剤となることが明らかとなった。さらに、鼻粘液に対する薬物溶出性を評価するため、人工鼻粘液表面に製剤を適用し、経時的な薬物溶出濃度を定量することで各種製剤の溶出挙動を観察した。薬物溶出率がPVPで2-3倍、HPMC及びalginate-Naで4-5倍高くなり、ポリマー添加による溶解性改善が認められた。本成果から、溶解性改善した経鼻投与型製剤の開発が可能であることが示された。 現在、本製剤をラット鼻腔内に投与後の脳移行性に関する薬物動態学的評価を遂行しており、製剤化の有用性を明らかにする予定である。本研究成果は、経鼻投与経路を利用した中枢神経系疾患の治療薬を開発する上で重要な製剤的知見となる。今後、本検討で得られた成果に基づき、抗炎症作用を有するモデル薬物を用いた経鼻投与後の脳移行特性を評価し、神経炎症に対する治療効果を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時から所属機関が異動したことに伴い、本研究課題を遂行するための実験施設の整備が必要となり、実験を遂行できる環境を整えるために時間を要したため、当初計画から遅れている。現在は、必要な設備や環境は整っており、遅れてはいるものの、本研究課題を完了するため、着実に研究を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
所属機関の異動に伴う研究環境の設置が必要であったが、本研究課題を遂行するために必要な設備や環境が全て整い、本課題は解決済みである。現在、本研究を計画通りに遂行できるように努めており、研究計画の一部については既に研究成果を得ている。今後は、モデル薬物選定の効率化を行い、体内動態研究と製剤化研究を並行して遂行することで研究の推進をはかる。また、薬理学的検討では、薬物動態評価の成果を踏まえて、検討するモデル薬物を有効性が期待できる薬物に絞って評価する。これらの研究推進を試み、当初計画通りに本研究を遂行、完了させる予定である。
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Causes of Carryover |
所属機関の異動に伴い、研究に必要な設備や研究環境を新たに整える必要があり、研究を遂行できる環境を整備するために時間を要したため、当初計画より研究の進捗が遅れている。現在は、本研究を遂行できる環境が全て整っているが、当該年度に予定していた物品の購入や研究成果発表のための旅費等の使用ができなかった。現在、本研究課題の実験計画に沿った研究を遂行しており、翌年度において初年度に予定していた物品を購入し、また、現在までに得られた研究成果を順次発表する予定であるため、当初予定の経費が変わらず必要となる。従って、次年度において、翌年度に請求した助成金を使用する予定である。
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