2021 Fiscal Year Research-status Report
経鼻‐脳実質内薬物送達法による中枢系疾患治療を指向した神経炎症抑制効果の検討
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19K16465
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
井上 大輔 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (50550620)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経鼻投与 / 神経炎症 / 脳内薬物送達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、モデル薬物の適用最適化のため、製剤化検討を行った。本研究で選択したモデル薬物であるNSAIDsはいずれも難水溶性薬物であるため、in vivo適用時の溶解性不良に伴う低い薬物吸収性の問題が課題となると考えられた。そこで、本研究課題を効率的に遂行するにあたり、薬理学的検討及び治療効果の検証に先立ち、製剤化研究を行うこととした。 本検討では、難水溶性薬物である各種NSAIDsの溶解性改善を目的として、経鼻適用可能な剤形として、粉末製剤化、フィルム製剤化、粘性製剤化の可否について評価した。噴霧乾燥した粉末製剤を調製した結果、人工鼻粘液に対する溶解性の改善に加えて、高い鼻腔内噴霧性を有する製剤を調製できることが示された。また、薬物と高分子ポリマーの混合溶液を真空乾燥することでフィルム化に成功した。この薄膜状フィルム製剤では、モデル薬物の溶解性を顕著に改善できることが明らかとなった。さらに、液状製剤の粘性付加を目的として高分子ポリマーを添加した粘性製剤を調製し、人工鼻粘液への薬物溶出性に対する粘度の影響を定量評価した。製剤粘度が一定値を超えた場合、粘度の上昇に伴い、薬物溶出性が急激に低下することが示された。本成果から、粉末製剤化及びフィルム製剤化により薬物の溶解性改善が可能であり、また粘性製剤では良好な薬物溶出性を維持するためには粘度の最適化が必要であることが明らかとなった。今後、本検討で得られた成果に基づき、抗炎症作用を有するモデル薬物を固形製剤化した後、in vivo適用することで、経鼻投与後の脳移行特性の評価及び神経炎症に対する治療効果の検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時からの所属機関異動に伴う実験施設及び実験環境の整備は整ったが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う研究活動の制限が影響し、研究活動が遅れている。現在では研究活動を再開しており、遅れてはいるものの、本研究課題を完了するため、研究を遂行している
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う研究活動の制限が影響し、継続した動物実験が難しく、溶解性改善のための製剤化研究の必要性が生じたなどの変更が必要であったが、本研究課題を遂行できる基礎的知見が揃ってきた。今後は、所属研究機関の異動に伴う実験環境の整備が必要となるが、現在、研究体制は整いつつある。今後は製剤研究及び薬物動態学的解析、薬理学的検討を並行して遂行することで、研究の更なる効率化による研究推進をはかる。効率化、最適化による研究推進を試みることで、当初計画の通りに本研究を遂行、完了させる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う研究活動の制限が影響し、当初計画より研究の進捗が遅れた。現在は、本研究を遂行できる体制が整っているが、当該年度に予定していた物品の購入や研究成果発表のための旅費等の使用ができなかった。現在、所属研究機関の異動に伴う研究体制の確立と環境の整備を進めているが、本研究課題の実験計画に沿った研究の遂行を目指して、翌年度において当初予定していた物品の購入、研究成果の発表を予定しているため、当初予定の経費が変わらず必要となる。
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