2022 Fiscal Year Annual Research Report
経鼻‐脳実質内薬物送達法による中枢系疾患治療を指向した神経炎症抑制効果の検討
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19K16465
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
井上 大輔 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (50550620)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経鼻投与 / 神経炎症 / 神経変性疾患 / 脳内薬物送達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、鼻から脳への直接的薬物送達経路を利用した神経変性疾患に対する新規治療薬開発を目指して、固形製剤化した抗炎症薬(NSAIDs)の経鼻投与の有用性を評価した。本研究では神経変性疾患の発症要因とされる神経炎症に着目し、神経炎症誘発モデル動物に対して抗炎症薬を経鼻投与した際の神経炎症抑制効果を検討した。 本研究で選択したモデル薬物であるNSAIDsはいずれも難水溶性薬物であるため、in vivo適用時の溶解性不良に伴う低い薬物吸収性の問題が課題となると考えられた。そこでまず、本研究課題を効率的に遂行するにあたり、治療効果の検証に先立ち、経鼻投与に適した固形製剤化研究を行った。経鼻適用可能な剤形として、粉末製剤化、薄膜製剤化、粘性製剤化の可否について検討した。種々製剤化研究により、噴霧乾燥した粉末製剤とすることで、鼻粘液に対する溶解性の改善に加えて、効率的な噴霧特性を付加することに成功し、経鼻投与型製剤としての有用であることが示された。その他、薬物と高分子ポリマーを用いて、混合溶液とした粘性製剤及び混合溶液を真空乾燥した薄膜製剤を開発し、これら種々製剤が経鼻投与型製剤として有用である可能性を見出した。 本研究で経鼻投与型製剤として最適化した固形製剤技術を利用してNSAIDs粉末製剤を調製し、本製剤を経鼻適用した際のNSAIDsの脳移行動態を解析した。その結果、本研究で開発した新規粉末化技術を利用することで、薬物の脳移行性を顕著に増大できることが示された。 更に現在、リポポリサッカライド(LPS)誘発神経炎症モデルラットを用いて、神経炎症抑制効果を検討し、神経炎症に対する治療効果について詳細な検証を進めている。
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