2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel cancer pain treatment based on the daily rhythm of biological signals.
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19K16466
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
岡崎 裕之 第一薬科大学, 薬学部, 講師 (50734125)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん / 体内時計 / mTOR |
Outline of Annual Research Achievements |
がん患者において、がん性疼痛のコントロールはQOL(生活の質)維持の点で極めて重要度の高い事案であり、がん化学療法の明確な課題である。本研究は、mTOR阻害薬として臨床で既に用いられているEverolimus、Temsirolimusを研究対象とすることで、がん化学療法の最適化を図るとともに、がん患者の苦痛に対して迅速に改善することを目的としたものである。 本研究は2019年度~2021年度の3か年で実施を計画したものであり、2019年度の研究ではマウス腫瘍モデル細胞における遺伝子発現解析の結果、mTOR阻害薬Everolimus、及びTemsirolimusによる炎症関連遺伝子の発現変動を解析した。この結果、炎症性サイトカインの発現、及び疼痛関連因子であるイオンチャネル遺伝子の発現量が優位に低下していることが明らかとなった。また一方で、これらの阻害薬の時計遺伝子への影響は全く異なる挙動を示しており、作用機序に対する詳細な検討が必要だと考えられた。 2020年度の研究において、マウス腫瘍モデル細胞におけるmTOR活性の時刻による変動と、mTOR阻害薬の影響について更なる解析を行った。活性体であるmTORのリン酸型、及び下流のP70S6K活性は約24時間周期の時間依存的な変動を示している一方で、時計遺伝子、炎症関連遺伝子、疼痛関連遺伝子の発現についても時間依存的な変動が認められた。しかしながら、mTOR阻害薬の影響下においてはmTORシグナルの活性は顕著に抑制されており、またコントロール群で認められた疼痛関連遺伝子の発現変動と大きく乖離していた。この時、時計遺伝子の発現変動についても検討したところ、mTOR阻害薬の種類によって異なる変動祖示しており、2019年に実施した研究内容を裏付ける結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルスの影響、並びに研究機関内の人員異動により、研究代表者(申請者)の学内業務分担の増加している。また、2020年度の学内動物実験実施者の増加により動物実験を同時進行で実施できる規模が小さくなってしまった。そのため、2020年度に実施予定だった内容を2021年度に一部回すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究実績と研究計画に基づき、mTORシグナル-がん性疼痛の発現-体内時計、の関連性についてin vitro, in vivoの両面から評価を行う。 本研究課題の最終年度にあたるため、2019年度~2020年度に得られた結果を総括して、学会発表と論文投稿による研究成果の公表を目指している。
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Causes of Carryover |
2020年度は物品費として、研究の遂行に必要な試薬、機器等を購入した。2020年度の計画はやや遅れているものであるが、実験に使用する機器の破損などもあり当初の計画から一部変更して購入している。次年度使用額については2021年度の研究遂行にあたり適正に使用する。
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