2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel cancer pain treatment based on the daily rhythm of biological signals.
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19K16466
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
岡崎 裕之 第一薬科大学, 薬学部, 講師 (50734125)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん / 体内時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの進行を抑制し、かつ耐え難い痛みを抑えることは、がん患者にとって切実な願いである。がん性疼痛の発現とそのコントロールは、現代のがん治療において今なお新たな知見を必要としている。本研究は、抗がん剤であるmTOR阻害薬としてEverolimus、及びTemsirolimusを対象とし、これらの疼痛発現への影響と体内時計との関係に着目することで、がん化学療法の最適化を目的としたものである。 初年度の研究において、Everolimus及びTemsirolimusによる炎症関連遺伝子の発現変動を解析した。この結果、マウス腫瘍モデル細胞において、炎症性サイトカイン及び疼痛関連因子であるイオンチャネルの発現量が低下していることを明らかとした。次年度の研究では、mTOR活性の時刻による変動とmTOR阻害薬の影響について更なる解析を行った。活性型mTOR、及びmTORの下流シグナル因子であるP70S6Kの活性は約24時間周期の時間依存的な変動を示していた。また、各種時計遺伝子、並びに初年度に見出した疼痛関連遺伝子や炎症関連遺伝子の発現についても時間依存的な変動が認められた。その一方で、時計遺伝子の発現変動はEverolimusとTemsirolimusで異なる挙動を示していた。 2021年度では、EverolimusとTemsirolimusによる時間依存的な変動への影響の違いについて検討を行った。その結果、Temsirolimusを用いた実験系において、D-siteを介した転写調節に影響が生じていることを見出した。一方でEverolimusではこれらの影響が顕著には認められなかった。また、Temsirolimus群ではがん原遺伝子の分解に関わる遺伝子発現が変動していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は動物実験を進める予定であったが、新型コロナウイルスの影響、及び動物飼育施設の改築に伴う一時的な設備縮小により予定よりも進行させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度実施予定であった疼痛モデルにおけるmTORと体内時計とのそれぞれの相関関係について動物実験を遂行しながら解析を行う。また、Everolimus、Temsirolimus以外の薬剤による影響についても比較検討し、詳細なメカニズムの解明を進める。
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Causes of Carryover |
本研究課題を3か年計画で申請していたが、主に動物実験の進捗の遅れにより延長申請を行った。2022年度は、動物実験関連の物品、動物、及び遺伝子解析試薬などを中心に使用予定である。
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